シナジーの発現はいつ?2026年度にプラス転換、2028年度に74億円
最後に経営統合で期待されるシナジー効果を押さえておきましょう。八十二銀行は、ROE向上ドライバーの一つに長野銀行との統合によるシナジー効果を挙げました。
多くの上場地銀と同様、八十二銀行もPBRの改善を目指しています。低PBRの要因はROEの低さにあるとの認識から、2027年度のROE目標を5%に設定しました(2024年3月期実績:3.7%)。
八十二銀行によると、長野銀行とのシナジー効果は経営統合で創出される人材によってもたらされます。店舗網の最適化や業務効率化で約200名の人材が創出され、その人材を戦略分野に再配置することで収益力を強化します。再配置の内訳はコンサルティング関連で100名、デジタル関連と新規業務に50名ずつです。
八十二銀行は、全体のシナジー効果は2028年度に74億円に達すると試算します。ただし当面はコストが先行することから、2025年度まではマイナスとなる見込みです(出所:八十二銀行 インフォメーションミーティング資料(2024年5月30日開催分))。
八十二銀行はROE向上のドライバーとして3つを挙げていますが、うち2つは長野銀行との合併に由来するもので、残り1つは金利の上昇です。シナジー効果が表れるまでは、ROEおよびPBRの改善は金利次第になりそうです。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)