長野銀の連結は経常利益にマイナス、純利益に大幅プラス 今期はどうなる?

次に足元の業績を紹介します。

八十二銀行の2024年3月期は増収増益でした。特に純利益が大きく伸びています。これは長野銀行の連結に伴い負ののれん発生益173億円が生じたことが主因です。なお、長野銀行の連結は2023年6月末であり、同行の損益の反映は2023年7月~2024年3月の9ヵ月分です。

【八十二銀行の業績(連結、2024年3月期)】
・経常収益:2122億円(+7.1%)
・経常利益:352億円(+0.9%)
・純利益:370億円(+53.6%)
※()は前期比
※参考(八十二銀単体):業務粗利益875億円(+8.6%)、業務純益331億円(+24.0%)
※参考(長野銀単体):業務粗利益-59億円(赤字転落)、業務純益-159億円(赤字転落)

出所:八十二銀行 決算短信

連結した長野銀行は、単体の経常利益は赤字でした。経営統合でポートフォリオの見直しを実施したところ、債券の売却損失が大きく生じたためです。同じく査定基準を統合したことで与信費用が増加したことも影響しました。

したがって、微増ながら連結の経常利益が前期比で増加したのは、八十二銀行が単体でけん引したことになります。国内で貸出金や有価証券が増加したことで資金利益が大きく伸び、全体でも増益となりました。

上述の通り八十二銀行は有価証券の保有が大きいため、その運用状況も確認しておきましょう。

有価証券の評価損益は前期比で増加しました。債券の評価損の悪化を、株式の評価益の拡大が上回ったためです。スワップによるヘッジ評価益を加味した全体の評価益は、前期比2245億円増加の6378億円となりました。株高を背景に有価証券の運用は好調なようです。

今期(2025年3月期)は、長野銀行が通期でフル寄与となります。統合に伴い前期に生じた損失がなくなり、予想経常利益は連結で20%台後半と大きく増加する見通しです。ただし連結に伴う一時的な特別利益(負ののれん発生益)もはく落することから、純利益ベースでは減益の予想となっています。

【八十二銀行の業績予想(連結、2025年3月期)】
・経常収益:非開示
・経常利益:450億円(+27.7%)
・純利益:310億円(-16.3%)
※()は前期比
※参考(八十二銀行単体):業務粗利益935億円(+6.8%)、業務純益352億円(+6.3%)

出所:八十二銀行 決算短信