地方銀行の売れ筋は、地域によって個性が色濃く出る。福岡銀行では6月のトップに「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」が躍り出た。6月末時点の1年トータルリターンが103.0%という全ファンドで最も高いリターンをあげているファンドだ。ネット販売でもトップとなり、非常に強い人気を集めたことがわかる。
また、北海道を地盤とする北洋銀行もトップは「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」という米ハイテク株に主眼に置く成長株ファンドだ。1年トータルリターンは50.1%とこちらも大きなリターンを記録している。対して、千葉銀行や広島銀行では売れ筋の第2位に債券ファンドが入る。トップ銘柄も「高配当」や「世界経済インデックス」といったどちらかといえば穏やかな収益をめざすファンドになっている。
◆主要地銀でも顕著な米国ハイテク成長株に特化した売れ筋
福岡銀行の売れ筋トップになった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」は、生成AI(人工知能)の登場で注目を集めた米エヌビディアに意識的に手厚く投資し、半導体関連産業の成長期待に確信をもってリスクテイクしているファンドだ。5月末時点でエヌビディアの組み入れ比率は30.8%で、全組み入れ銘柄数も24銘柄に絞り込んでいる。確信の持てる銘柄に厳選し、特に確信度の高い銘柄には思い切ってウエイトもかける攻めた運用をするファンドだ。福岡銀行の売れ筋には、「世界半導体関連フォーカスファンド」も第5位にランクされており、成長が期待される特定の産業に集中投資することによって、高いリターンを狙いたいという商品選択がうかがえる。
北洋銀行の売れ筋トップの「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」も、銘柄を厳選し積極的にリターンを取りに行くファンド。5月末時点の組み入れ銘柄数は33銘柄で、ポートフォリオの68.2%を情報技術(IT)が占める。同行の売れ筋第2位の「ウォルター・スコット優良成長企業ファンド(資産成長型)」は48銘柄、第5位の「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)」は39銘柄でポートフォリオを構築するなど、銘柄を厳選して投資するアクティブファンドが売れ筋の上位に並んでいる。