分配金を出すと基準価額が必ず下がる(ただし損失ではない)
一見すると「分配金あり」の方がお得な気がします。しかし、分配金をもらえる機会が多いからといって利益が増えるわけではありません。投資信託は、分配金を支払うと値下がりするためです。
投資信託の基準価額は「純資産総額(※)÷総口数」の式で算出されます。株価のように、売買の結果がそのまま反映されるものではありません(参考:投資信託協会 投資信託の基礎知識)。
※純資産総額(じゅんしさんそうがく):投資信託の資産のうち、投資家に帰属する部分。その投資信託の大きさを示す。
そして分配金は投資信託の資産から支払われます。したがって、「分配金あり」の投資信託は分配金を支払うたびに純資産総額が減少します。分母の総口数が変わらず、分子の純資産総額が減少するため、分配金を支払うとそのぶん基準価額が下がるのです。これを「分配落ち」と呼びます。
例えば分配金が100円なら、基準価額は100円下落します。基準価額は分配金と同じ金額だけ値下がりします。
なお実際には、分配落ち日に基準価額が上昇することもあります。これは分配落ちに伴う純資産総額の減少より、投資対象資産の値上がりが大きいケースなどで起こります。とはいえ、分配金がなければさらに値上がりしたはずですから、このケースでも基準価額は実質的に下落したといえます。
ただし、分配落ちは損失ではありません。基準価額が減少したのは、投資家が分配金を受け取った結果だからです。例えば100円の分配金を支払った投資信託は100円値下がりしますが、同時に投資家は100円を受け取っています。トータルで損失はありません。
つまり分配金は、直接的には利益でもなければ損失でもないのです。では、分配金はどういうときに利益になるのでしょうか?