――特に「脱炭素化」に関する投資に着目しているそうですね。
経済の脱炭素化はPD、とりわけインフラへの投資を考える上で重要です。気候変動問題を巡る世界的目標を定めた「パリ協定」では、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」が盛り込まれました。カーボンニュートラルを実現するにはエネルギーに関するインフラ整備に膨大な資金が必要になりますから、投資先としてこれからも有望と言えます。
脱炭素化への注目度の高まりは、PD投資におけるインフラの定義が時とともに変わっていることからもうかがえます。10~15年前は交通や公共セクターに対するPPP(Public Private Partnership=官民連携)を通じたものがインフラ投資でしたが、現在では、経済の脱炭素化やエネルギー移行、デジタル化に関するものが主流になってきています。
――経済のデジタル化を巡っては、今年4月にも国内向けに新たなインフラデットファンドを設定されています。
欧州のインフラ市場における急成長分野であり、魅力的な投資リターンを提供するために、SBI新生銀行の自己運用部門向けに「SSキャピタル・デジタル・デット・ファンド」を設定しました。当ファンドは光ファイバー網や携帯基地局、データセンターといった欧州の通信インフラ・プロジェクトに投資するものです。
再生可能エネルギーは非常に安定的で質の高い投資先ですが、リターンの水準が相対的に低くなります。一方で、欧州のインフラ・デット全体に占める通信分野の割合は過去5年間で10%から35%に拡大しており、今後もデジタル化の需要が続くことが見込まれています。そのため、通信インフラは投資機会が非常に豊富であるとともに、リスク対比のリターンが魅力的な水準となっています。
――PDにはさまざまな運用会社が注目していますが、AEWならではの強みは何ですか。
AEWの強みは、インフラや不動産、航空機、企業ファイナンスなど多種多様なセクターをカバーしており、セクターごとの専門家を統合したデット投資の専門チームを作っている点にあるでしょう。また業界経験の長いシニアメンバーが多いのも特長で、一緒に15年以上にわたって仕事をしている者も珍しくありません。
――最後に読者へ向けてメッセージをお願いします。
PDにおける投資機会は、過去数年間と比べてもリスク・リターンの魅力度が増しています。また混迷する経済動向や市場の価格動向に左右されにくい安定的なリターンの獲得、企業の負債構造にマッチしたソリューション的なリターンをお探しの投資家にとって、PDは戦略的なアセットアロケーションを支える重要な投資先になり得ると考えています。様々な投資家のニーズに応えてきた弊社にご関心を持っていただければ幸いです。