プライベートデット部門責任者
ジョナサン・スティーブンス氏 Jonathan Stevens
――まずはグローバル経済の現状と今後の見通しについて教えてください。
グローバル経済は非常に複雑かつ流動的な状況です。ウクライナ情勢や中東問題などにより地政学的リスクは高まっていますし、米国大統領選挙をはじめ各国で重要な選挙も控えています。
今後の見通しとしては、米国・欧州でどこかのタイミングで利下げが始まると見られますが、具体的なタイミングを判断するのは非常に難しいでしょう。そのため投資家は、6~18カ月といった短期目線ではなく、5~10年といったよりボラティリティの影響の少ない中長期的な目線で金利動向を捉えることが重要だと考えています。
――市場を見通すことが難しい状況の中、御社はどのような投資先に注目しているのですか。
景気やグローバル市場の方向性に対する見通しがそれほど重要ではなく、株式のように投資タイミングを考えなくて良いという点から、投資先としてのPDの魅力があると考えています。
また債券発行といった公募市場を通じた企業の資金調達手法と比べ、PDは当社のようなファンドが直接引き受けを行うことから、債券・株式といった伝統的資産に対し、公開されていない情報に対するプレミアムの獲得が狙えます。
そして社会に必要不可欠でサービスの継続的な利用が見込まれる様な資産へ投資するPDは、経済動向との相関の低さが魅力です。とりわけ足元のようにグローバル経済が混迷する中にあって、公募市場の動きにリターンが左右されにくいことは大きな強みとなるでしょう。
さらに金利変動がリターンに即座に反映されることの多いPDは、上記の様な景気変動に対する耐性や情報プレミアムの存在から、相対的に魅力的なリスク調整後のリターンを提供していると考えています。
――PDのなかで注目しているセクターを教えてください。
投資先のセクターは、PDは流動性が低く、満期まで保有することが前提で満期時のリファイナンスのリスクも考慮しなければならないため、不透明な経済状況であっても一定のレジリエンス(強靭性)が見込めることが重要です。
そうした中、具体的に注目しているのは、①脱炭素化、②デジタル化、③人口動態の変化(高齢化)、④脱グローバル化といった、長期的かつ大きなグローバル経済のトレンドに関わるセクターです。政治動向や規制の変化といったリスク要因はありますが、社会的に必要不可欠なインフラ資産であれば、こうした中でも投資機会を見出すことができると考えています。