中国や欧州の景気減速、地政学リスク…かく乱要因に日本株は耐えられるか
とはいえ、現在のPERが割安だとしても、将来の利益が減れば、株価は割高に判断されます。株価は将来性を織り込むものなので、大事なのは将来の業績です。
長期的な業績を予測するのは困難ですが、参考になるのが会社四季報の2期予想です。宣伝するつもりはありませんが、2024年3集(夏号)には、2024年3月期決算企業の本決算がすべて掲載されるのと同時に、2025年3月期決算の予想と、2026年3月期決算の予想まで掲載されているので、これを見ることによって2期先までの企業業績予想を立てられます。
とはいえ、会社四季報に掲載されている企業数は3923社もありますから、これを1社ずつチェックするのは大変です。
そこで活用したいのが、会社四季報の冒頭にある「市場別業績集計表」です。ここには、東証・名証プライム市場、東証スタンダード市場・名証メイン市場、新興市場というように、市場別に売上高、営業利益、経常利益、純利益の前期実績、今期予想、来期予想の伸び率が示されています。
それによると、今期(2025年3月決算)予想は、前期(2024年3月決算)実績に比べて大幅な減益予想になります。
東証・名証プライム市場に上場されている1566社の営業利益は、前期実績が15.0%という大幅な伸びになりましたが、今期予想は7.0%の伸びにとどまります。中国や欧州の景気減速に対する警戒感の高まりや、想定為替レートを円高に設定している企業も多いことから、今期業績見通しについて慎重な見方が強まっているためです。4月から6月にかけて株価が横ばいで推移しているのは、今期決算の減益予想を織り込んでいるからと考えられます。
ただ、来期(2026年3月決算)予想は、営業利益ベースが今期予想の7.0%から8.9%へと増益率が上昇します。それにともない純利益の来期予想は、今期予想の2.6%から6.9%へと大きく上昇する見通しです。
何しろ2026年3月決算の話ですから、どうなるかは何とも言えません。前述したように中国や欧州の景気減速懸念、米国に関して言われているバブル崩壊、地政学リスクの高まりなど、現時点で想定されるマーケットのかく乱要因はさまざまあり、それらが顕在化すれば、株価はある程度の調整を余儀なくされるでしょう。
とはいえ、日本企業の収益性は大きく改善していますし、米国など他の先進国の株価に比べて、日本株が大幅に出遅れているのも事実です。仮に世界株が急落しても、日本株の調整は小幅に止まると見ています。