企業の純利益はバブル期の4倍超に…それでもPERの数値は低い理由
では、なぜ今の株価は、バブルピーク時のそれを超えるか、ほぼ同じ水準に達したのにPERやPBRなどの株価指標に照らして割安なのでしょうか。
それは、日本企業の収益力が高まるのと同時に、その収益が内部留保として、しっかり企業内に蓄積されているからと考えられます。
PERは株価を1株利益で割って求められます。つまり、どれだけ株価値上がりしたとしても、企業収益が増えれば、PERは上がりません。実際、東証プライム市場に上場されている企業の純利益は、合計で47兆円を突破し過去最高を更新しています。
ちなみに、みずほ証券リサーチ&コンサルティングが過去に集計した数字によると、株価的にバブルピークだった1989年度の東証一部上場企業の純利益は10.1兆円でした。この34年間で、株価はようやく過去の最高値を更新してきましたが、企業の純利益は実に4倍超にまで増えていたのです。日経平均株価が過去最高値を更新したにもかかわらず、市場平均のPERが大きく下げているのは、このためです。
ちなみにPBRについては、東証一部市場ならびに東証プライム市場に上場されている全企業の純資産合計額のデータが取れなかったので、ここでは割愛しますが、PBRの計算式は、「株価÷1株純資産」なので、特にリーマンショック後、多くの日本企業が内部留保を多く蓄積してきたことを考えると、PBRが低くなるのも自然の流れと言えそうです。
また、PBRは上記計算式以外に、「PBR=ROE×PER」でも求められますが、この計算式から考えると、日本企業の多くは低ROEだったため、この点からもPBRが上がりにくい状況にあったと考えられます。
このように、バブルピークと現在のPERならびにPBRの比較感からすれば、現在の株価は決して「割高」ではありません。
その意味では、まだ上昇余地はありそうです。