2023年度の加入者数は前年割れも、年明けから盛り返す
2023年度(2023年4月~2024年3月)のiDeCoの新規加入者数は45万2202人(同79.5%)となりました。前年度に当たる22年は5月に加入年齢要件が拡大され、65歳未満の会社員や公務員、国民年金の任意加入者の加入、同10月には企業型確定拠出年金(DC)の加入者の同時加入が可能になったことなどから新規加入者数が増加。その反動もあり、主だった制度改正がなかった2023年度は前年対比で落ち込む結果となりました。
ただし、23年11月を底に24年2月には反転して前年比約111%と上回り始め、昨対超えの傾向は3月も続いています。
新規加入者数の推移を詳細に見ると、第1号加入者(自営業者等)は比較的、安定推移しており、23年12月以降は前年比を超え始め、年明けの24年1月約141%、同2月約157%と大幅に伸長しています。この理由は年末調整や確定申告などの季節要因に加え、24年1月から開始となった新NISAによる非課税投資制度への関心の高まりも影響したものと見られます。
また、第2号加入者(公務員・会社員)も前述の22年5月、10月の改正後のタイミングで比較すると前年差が顕著ですが、24年2月には盛り返しています。こちらも第1号と同様に季節要因並びに新NISAの影響による前年超えと推察されます。
転職時には自動移換に注意、思わぬデメリットで損することも
企業型DCの導入企業が増える一方で、転職も増えている昨今に注意が必要なのが、自動移換の問題です。自動移換とは、企業型DCのある会社から転職する際に、6カ月以内に資産の移換を適切に行わないと、自動的に現金化され、国民年金基金連合会に移換されてしまうことを指します。自動移換されると、運用ができない、管理手数料がかかる、企業型DCやiDeCoに移さない限り60歳以降も受け取れなくなるなどのデメリットが生じます。そんな困った事態に陥らないよう、転職先の企業型DCに移換する、転職先に企業型DCがない場合はiDeCoに移換するなどの手続きが必要です。
ただし、企業型DCの導入企業、転職者ともに増加傾向にある中、2023年度の自動移換者数は前年並みと健闘しています。転職後の忙しいさなかにも煩雑な手続きをきちんと行った人が一定数いたからではと見られます。