超長期的な変化を示すメガトレンド

最後のテーマは、今後数十年間にわたって続くと見られる「メガトレンド」です。メガトレンドの主流はESGで、大きく分けて「エネルギー・モダナイゼーション」と「自然の再秩序」という2つの要素に分類できます。

前者のエネルギー・モダナイゼーションとは、文字通りエネルギーの現代化を意味し、新たな投資機会のきっかけとなります。例えば今後さらに普及していくと見られる電気自動車では、リチウムやニッケル、マンガンといった高価なレアメタルが必要となりますので、鉱物に着目した株式のアクティブ戦略などに妙味が出てくると考えられます。

後者の自然の再秩序としては、「森林」や「農業」、「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」への投資が挙げられます。

まず森林への投資には、比較的安定したリターンが取りやすい特徴があります。例えば米国の森林投資のリターンを見てみると、直近35年間でマイナスになった年は数えるほどで、年率10%程度のリターンが出ています(図表)。一番大きいマイナスとなった2001年でも-5.2%に過ぎず、リスクが比較的小さいという特徴もあります。さらに木材活用に関する技術革新が進んでいますので、今後も期待できる市場と言えるでしょう。

 図表 米国の森林のリターン


続いて農業についても投資妙味があると見ています。農業投資の過去のリターン実績を見ると、森林と同様に高リターン・低リスクとなっている上、伝統的資産との相関がほとんどなく分散効果が高いこともわかります。さらに世界的な人口増による食糧危機の懸念や、温室効果ガス抑制に向けた技術革新の必要性などを踏まえると、今後も投資先として追い風が吹きそうです。

そして循環型経済についても今後の重要な投資テーマになるでしょう。循環型経済とは、現状では廃棄されてしまうような各種資源について、リユースやリサイクルを通じた再活用や付加価値の創造を狙うものです。例えばオランダでは、2050年までに100%循環型経済を実現する目標を立てるなど、世界的に注目されている取り組みです。投資先としては「リスクが高いのではないか」とか「あまりリターンが良くない」といった先入観を持たれがちですが、実際にはリスクが低くてリターンも高いとの分析結果も出ており、これから注目したい投資テーマと言えるでしょう。