「通常のパターン」にはない買い越し。日本株投信が意外にも健闘していた!?
――日本株式投信の流出入はどのように見ていますか。
これまで、日本株が高騰した月は必ず国内株インデックス型を中心に売却超過が起きていました。そのうえ、今年の1月の株式市場は上昇基調が続き、1000億~2000億円の売却超過でも不思議でないような市況でした。
ところがフタを開けると、1月前半は売却超過に陥っていたものの、月間でみれば買い越しとなりました。株価上昇の途中で利益確定がほぼ出尽くしてしまったとも考えられますが、新NISAを追い風にして買いが入った可能性もありそうです。
国内株のアクティブ型投信に目を向けると、高(好)配当系への資金流入が目立っています。個別銘柄資金流入8位の「日本好配当リバランスオープン」(SBI岡三アセットマネジメント)、16位の「SBI日本高配当株株式(分配)ファンド(年4回決算型)」(SBIアセットマネジメント)などは、株価上昇の局面でも堅調さを見せつけました。
――1月の日本株急騰の要因が「新NISA効果」によるものと説明する向きもあるようです。
それは誤りだと思っています。個人の資金で投信が多少売れるくらいでは、株式市場全体が大きく動くことはありません。個別銘柄が新NISA絡みで買われた影響もゼロではないかもしれませんが、それ以上に利益確定の売りが生じているので、需給面で新NISAが日本株を押し上げたというのは、やはり語弊があるでしょう。海外の投資家による日本株買いがメインの要因とみるべきです。
――また「自国民が自国の株式投信を買わないのは残念」という意見もあります。
そもそも昨今ここまでグローバル化が進む環境にあって、企業の国籍にこだわって投資をする必要はないと考えます。マイクロソフトのOSを使い、アップルのスマートフォンでGoogle検索をする……S&P500、あるいはオールカントリー指数の構成上位企業の製品・サービスを日常的に使っているのに、投資になると自国企業へ、というのも少々違和感があります。国内の経済をよくすることと、個人の資産形成は分けて考えたほうがいいと考えます。
もっとも、「オルカン」などグローバルに地域分散された投信を購入しているような人たちがこれから日本株投信を買うようになるかというと、率直にいって難しいと思っています。 “ポリシー”が異なるからです。
グローバル株を選ぶ方は、地域分散をさせて平均点を狙いにいきたいという考えのはずです。日本株投信を買うことは日本への集中投資、となりますから相容れません。
一方、米国株式投信を選んでいる方には振り向いてもらえる可能性があると考えています。米国株式投信を選んでいること自体が集中投資であり、集中投資に抵抗がそこまでないためです。ただ、これから投資先として「米国よりも日本」が選ばれることが求められ、そのためには日本企業自体の魅力を上げていくことが必要不可欠です。日本企業の稼ぐ力を増して、アメリカ企業以上に業績が拡大すれば、株式自体や投信のパフォーマンスが向上し、それに伴って資金流入も当然ついてくるでしょう。