プラチナに“希少性がある”と言われる理由

貴金属の希少性は埋蔵量の差を見ても一目瞭然です。これまで産出された分も含めて、金の埋蔵量は約5万4000トンと見られていますが、プラチナのそれは約1万6000トンです。年間の産出量も、金が約3000トンであるのに対し、プラチナは約182トンです。

金の産出国と言えば、かつては南アフリカがトップのイメージでしたが、状況はかなり大きく変わってきています。南アフリカの産出量はこの15年で大きく減少し、代わりにトップに就いているのが中国です。2022年の金産出量を国別に10位までランキングすると、以下のようになります。

中国・・・・・・330トン
オーストラリア・・・・・・320トン
ロシア・・・・・・320トン
カナダ・・・・・・220トン
米国・・・・・・170トン
カザフスタン・・・・・・120トン
メキシコ・・・・・・120トン
南アフリカ・・・・・・110トン
ペルー・・・・・・100トン
ウズベキスタン・・・・・・100トン

これに対してプラチナはどうでしょうか。

南アフリカ・・・・・・124.4トン
ロシア・・・・・・20トン
ジンバブエ・・・・・・17.1トン
カナダ・・・・・・5.4トン
米国・・・・・・3トン
中国・・・・・・2.8トン
フィンランド・・・・・・1.2トン
コロンビア・・・・・・0.4トン
オーストラリア・・・・・・0.09トン
エチオピア・・・・・・0.01トン

金の年間産出量は、中国、オーストラリア、ロシアの3カ国でほぼ同量ですが、プラチナの場合、南アフリカに集中しています。このように、特定国に偏在していることから、プラチナはもともと地球上にあった物質ではなく、隕石(いんせき)の衝突によって宇宙からもたらされたものという見方もあるくらいです。