なるべく純資産総額が「50億円」より多い商品を選ぶ

では、皆さんが投資信託を購入する場合、純資産総額はいくら以上のものから選びますか?

まず、投資信託の投資対象マーケットにもよりますが、純資産総額があまりにも小さいものは避けた方が無難です。なぜなら、繰上償還リスクが高まるからです。

新NISAで投資信託を購入する方は、大半が長期目線の資産形成を考えているでしょう。そうであるにも関わらず、購入した投資信託が繰上償還されてしまったら、長期目線も何もあったものではありません。

しかも、1800万円の生涯投資枠いっぱいまで投資した後で繰上償還されたりしたら、繰上償還される月にもよりますが、運用できない空白期間ができてしまいます。

極端なケースですが、たとえば生涯投資枠いっぱいまで購入した投資信託が、1月に繰上償還されたとします。その時点で解約代金を受け取ることになりますが、新NISAでは、投資信託を解約して空いた枠の再利用は、翌年以降にならなければ認められません。つまり、繰上償還されてしまった分は約1年間、キャッシュで寝かせなければならないのです。このリスクを考えると、やはり純資産総額が大きな投資信託を選ぶことが重要になってくるのです。

一概に「この金額以上」とは言えないのですが、繰上償還条項が発令される時の受益権口数が30億口とする投資信託が多いことからすると、1口基準価額が1円で純資産総額が30億円、1.5円で45億円、2円で60億円になります。こうした点から考えると、純資産総額は50億円程度よりも多いものというのが、ひとつの目安になりそうです。

前出の純資産総額別の投資信託の本数を合計すると、4331本になります。このうち、純資産総額が50億円未満の投資信託の本数は、2799本です。つまり、4331本から2799本を差し引いた1532本しか、買うに値する投資信託はない、ということになります。

1532本に対して、新NISAの成長投資枠で購入できる投資信託の本数は非上場投資信託だけだと1801本なので、その中にも純資産総額が50億円未満で、買うに値しないと思われる投資信託が、300本近く含まれているかもしれないと考えられます。

このように純資産総額で足切りをすると、購入できる投資信託の本数はかなり限定できるのです。

特にインデックス型投資信託の場合、連動目標とするベンチマークが同じであれば、運用会社や運用担当者が違ったとしても、実現するリターンはほぼ同じになります。インデックス型投資信託を購入するならば、純資産総額だけを見て判断すれば良いでしょう。基本的には純資産総額が大きいものを選んでおけば大丈夫です。