2020年度は過去最大の赤字 買収攻勢が裏目に
イージス買収後の電通は海外M&Aを積極化させ、欧米やアジア、アフリカといった広範な地域で毎年10社以上を取得します。海外売上総利益はおおむね右肩上がりに増加し、グローバル化が進展しました。
【売上総利益の推移(2016年12月期~2022年12月期)】
しかし海外展開には痛みもありました。海外事業全体を再評価した結果、想定していた収益が見込めないと判断し、買収で積み上げていたのれんの減損を強いられたのです。背景には中国やオーストラリアの不振、コロナ禍がありました。
減損の額は2019年度に737億円、2020年度で1447億円に上りました。さらに構造改革費として2019年度と2020年度にそれぞれ197億円、784億円を計上します。
これらの負担が重く、2019年度に2009年3月期以来となる最終赤字に転落すると、翌期には過去最大となる1596億円の純損失となりました。
【純利益の推移(2016年12月期~2022年12月期)】
電通は本社ビルを売却し、2021年度は最高益を更新します。しかし売却益が剥落した翌期は45%の減益となり、2023年12月期も44%の減益を見込むなど厳しい状況が続いています。