「売上高5兆円が見えてきた」 ファストリはなぜ強い? 

創業者で代表取締役会長兼社長の柳井正(やない・ただし)氏は2023年10月、2022年度決算説明会で「売上高5兆円への道筋はほぼ見えている」と話し、将来的に10兆円を目指すと明かしました(出典:ファーストリテイリング 2023年8月期決算説明会)。

10兆円を売り上げる日本企業は多くありません。小売業ではセブン&アイHDが到達するのみです。ファーストリテイリングの実績からは3.6倍以上に達する大きな目標ですが、柳井氏は自信をにじませます。

【上場企業 売上高ランキング上位3銘柄(2022年度)】
1位.トヨタ自動車:37兆1543億円
2位.三菱商事:21兆5720億円
3位.本田技研工業:16兆9077億円
(参考)8位.セブン&アイHD:11兆8113億円
(参考)16位.イオン:9兆1168億円
(参考)56位.ファーストリテイリング:2兆7666億円

出典:日本経済新聞 売上高ランキング

柳井氏はファーストリテイリングの原動力は「ライフウェア」にあるといいます。「究極の普段着」をコンセプトに、機能的で丈夫な服を誰でも買いやすい価格で売る戦略です。多くの高級ブランドを展開するLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)とは対照的な戦略といえるでしょう。

誰にとっても価値を感じやすい商品は世界展開しやすく、ファーストリテイリングのグローバル化が成功した理由の一つだと考えられます。ユニクロ事業の海外売上比率は61.7%と、2013年8月期(26.9%)から2.3倍に増加しました。売上高10兆円を目指す同社の目標は、引き続き海外での成否がカギを握りそうです。