インフレが続いていた米国の現状
日本よりもはるかに高いインフレ率だった米国では、ようやく物価上昇に歯止めが掛かり始めました。
米国の消費者物価指数の前年同月比は、2021年2月までは1%台で推移していましたが、同年4月に4%台、5月に5%台、10月に6%台、そして12月に7%台というように上昇を続け、2022年6月には9.1%に達しました。
この急激なインフレに対して、米国の中央銀行であるFRBは、政策金利であるFFレートの誘導目標を立て続けに引き上げ、強烈な金融引き締め政策を行いました。2022年1月まで、FFレートの誘導目標は0.00%~0.25%でしたが、そこから11回にわたって引き上げられ、2023年11月時点では5.25%~5.50%となっています。また米国長期金利の指標となる10年国債利回りは、2022年1月時点では1.6%前後で推移していたのが、2023年10月時点では5%寸前まで上昇しました。
金融引き締め政策には、世の中に出回るお金の量を減らすことによって、物価を沈静化させる効果があります。一時は9.1%まで上昇した消費者物価指数が徐々に低下し、2023年9月の前年同月比が3.7%の上昇まで落ち着きつつあることからも、金融引き締め政策の効果が確認されます。
そしてマーケット、とりわけ株式市場の関心事は、いつ米国が利下げに転じるのかに移り始めています。
NYダウは2022年1月に、3万6799ドルを付けて過去最高値を更新しました。ところが、金利の上昇に伴って下落に転じ、同年6月には3万ドルを割り込み、2万9888ドルまで下げました。そこから再び上昇に転じ、2023年8月には3万5630ドルの高値を付けましたが、現時点で最高値は更新できていません。
米国の株式市場にとっては金利の上昇が、株価の重石になっていると考えられます。直近でも、9月に行われたFOMCで、FFレートの誘導目標は据え置かれましたが、FRBがまだ利上げを検討しているというマーケットの観測を拭い去れず、NYダウは9月15日から10月3日にかけて、大幅に下落しました。
逆の見方をすれば、米国の金利がピークアウトして低下に向かえば、米国の株価が上昇に転じる可能性が見えてきます。
では、本当に米国の金利は低下へと向かうのでしょうか。