人生100年時代といわれる現代、定年後も雇用延長で働く人が増え、働き方の選択肢も増える一方です。そんな時代にあって、働き盛り世代の会社員には老後に対して不安をかかえる人は少なくないようです。

話題の書籍『脱 定年時代の歩き方』では、従来の定年の考え方に縛られず、将来の不安に備えて幸せな老後生活を手に入れるノウハウについて、老後問題解決コンサルタントの横手彰太氏が解説。今回は、本書冒頭の「プロローグ」、序章「脱・定年時代を生き抜くための7つのヒント」の一部を特別に公開します。(全3回)

●第1回:50歳で堅実な優良企業からスタートアップへ転職…不安定に見える道を選んだ「深い理由」

※本稿は、横手彰太著『脱 定年時代の歩き方』(Gakken)の一部を再編集したものです。

50歳からの20年間で人生が決まる

「人生100年時代」は本当でしょうか。100歳まで続く人生が当たり前になる時代は、やってくるのでしょうか。

厚生労働省「令和3年簡易生命表の概況」によると、男性の平均寿命(0歳の平均余命)は81.47年、女性の平均寿命は87.57年で、この40年間で男女ともに着実に寿命は延びています。

仮に100歳まで生きると仮定すると、50歳はちょうど人生の折り返し地点です。

確かに数字上はちょうど半分ですが、日常生活に制限がなく暮らせる年齢を示す健康寿命は、2019年の時点で男性72.68歳、女性75.38歳(内閣府2020年版「高齢社会白書」)でした。

何歳まで健康に暮らせるか……は、個人差があるため、大まかに70歳をリタイアの目標値に設定してみましょう。すると50歳から70歳までは20年間となります。

「もう20年しかない」と考えますか?
それとも「まだ20年もある」と考えますか?

有名な「コップ半分の水」というたとえ話があります。コップに半分入った水を見て、ある人は「まだ半分もある」と答えました。また、ある人は「もう半分しかない」と答えました。

この話は、物事のとらえ方によって人の感じ方が変わることの例として引用されます。

20年間は約240か月、240か月は約7300日です。すでに51年間、18000日以上を過ごしている私には、とても短く感じられます。

「たった7300日で人生に悔いを残さない満足感が得られるのか」
「現時点からスタートして、どこまで到達できるのか」

そう考えると、正直、不安になる気持ちもあります。

1972年生まれ、現在51歳になった私が、長年勤めていた不動産会社から転職したのは2022年のことでした。新たな就職先は「家族信託」専門のスタートアップです。

50歳になってからの転職なので、内心はドキドキしていましたが、今は決断したことを後悔していません。

会社員として新たな舞台に立ちつつ、本を書いたり、老後問題解決コンサルタントとして取材を受けたりしながら活動しています。

10年前(3650日前)の私は、今の自分の姿を全く想像していませんでした。ですから、20年もあれば、まだまだ今の自分が予測できないことを達成できると楽観的に考えることもできます。

そういう意味で「まだ20年もある」と捉えることもできます。あなたは、どう考えますか。