「三井住友DSワールド・ボンド・フォーカス2023-09(限定追加型)」に資金が集まる

三井住友銀行の9月ランキング1位は、「三井住友DSワールド・ボンド・フォーカス2023-09(限定追加型)」だった。同ファンドは、主に世界(日本を含む)の米ドル建ておよびユーロ建ての債券に投資し、信託財産を安定的に成長させ、一定のインカム収入を確保することを目指す。信託期間終了日まで保有される債券に投資し、信託財産を「持ち切り」することで運用が行われる。また、対円での為替ヘッジを原則とし、為替変動リスクの低減を図る。同ファンドの9月の資金流入額は約823.4億円で、国内公募株式投資信託(ETF除く)の中で最大となった。また、当初設定額は754億円で、今年、新規設定した国内公募株式投資信託(ETF除く)の中では2番目の大きさだった。9月末時点で当初設定額1位は1月に野村アセットマネジメントが設定した「(早期償還条項付)リオープン・ジャパン2301」となっている。今年設定された上位10本中、5本が「債券持ち切り運用型」だった。

債券は企業が債務不履行にならない限り元本が戻ってくるので、株式に比べて相対的にリスクが低い。投資初心者が最初の一歩を踏み出すのに有効と考え、「債券持ち切り運用型」のファンドが増えている。持ち切り運用は新しい手法ではないが、国内でも物価上昇が続く一方で国内の銀行預金の金利はゼロに近い。安定した利回りが期待できるとして債券ファンドの人気が高まっているのだ。また、販売各社は持ち切り運用型ファンドをきっかけに、NISAを利用した他の投資信託の積み立てなど、本格的な投資を促したい考えだ。

日経平均株価を対象にしたインデックスファンドが人気

大手銀行の9月ランキングでは、日経平均株価を対象にしたインデックスファンドの人気が高かった。ただ、9月の日経平均株価は急落した。その下げ幅(761円)は今年最大で、新型コロナウイルス感染拡大初期の2020年1〜3月以来の大幅な値下がりとなっている。9月までの3カ月間、値下がりが続いたのも3年半ぶりのことである。9月中旬には一時的にバブル後の高値に迫る場面もあったが、米国の長期金利の急上昇や原油価格の上昇を背景に、電力株やハイテク株などが売られる展開となった。ただ、日経平均株価を対象にしたインデックスファンドは、株価が下落する局面で買われる傾向があるので、大手銀行でも買いを入れた顧客が多かったと考えられる。

しかし、インデックスファンドで人気があるのは、S&P500種株価指数などの米国株を対象にしたファンドである。日経平均株価を対象にしたインデックスファンドで、もっとも純資産残高が多いのは「日経225ノーロードオープン」の約2471億円である。S&P500種株価指数を対象にしたインデックスファンドで最大の純資産残高を誇るのは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の約2兆6084億円で、「日経225ノーロードオープン」の約10倍の純資産残高となっている。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は米国株が上がっても下がっても純資産残高が増える傾向にあるが、「日経225ノーロードオープン」は国内株が上昇すると売りが増えることが多い。国内株のファンドに関しては「ブル型・ベア型」ファンドの人気も高く、短期志向の投資家も多いと考えられる。国内株に関しても、長期で保有する投資家が増えることが望ましいだろう。