金利上昇で住宅ローンはどうなる…?
では、仮に金利が本格的に上昇したら、どういうことになるでしょうか。
まず、預貯金の利率が上がります。それ自体は、お金を運用する側からすれば悪い話ではありません。一方、お金を借りる側にとっては、決してうれしい話ではありません。特に、住宅ローンを変動金利型で組んでいる人にとって、この金利上昇は大いに気になるところでしょう。
住宅ローンに関しては、固定金利型と変動金利型で分けて考える必要があります。固定金利型の住宅ローン金利は長期金利に連動しますが、すでにローンを組んだ後であれば、返済が終わるまで同じ金利が適用されるため、返済する利息は変わりません。
ただし、新規で固定金利型の住宅ローンを組む場合は、長期金利の上昇にともなって適用されるローン金利が上がりますから、ローンを組む前に長期金利が上昇すると、返済が終わるまでの利払いが増えることになります。
したがって昨今のように、長期金利が上昇傾向をたどっている局面で、新規に固定金利型の住宅ローンを組もうとすると、高いローン金利が適用されてしまいます。ここからさらに長期金利が上昇すると見るならば、少しでも早いうちに固定金利型の住宅ローンを組むべきでしょう。
一方、変動金利型の住宅ローンの適用金利は、短期金利の影響を受けます。現状、日銀は短期金利の上昇を認めていないため、そのスタンスが今後も続くのであれば、返済額が増えることはありませんが、いつまで短期金利の水準を現状の水準に据え置けるかは、何とも言えません。今後、短期金利が上昇に転じたら、変動金利型の住宅ローンは返済額が増えます。
ただ、変動金利型住宅ローンは、「5年間は返済額が一定」というルールがあるのと共に、返済額が増える場合は、「従前の返済額の1.25倍が上限」というルールもありますが、仮に月々の返済金額が10万円だとして、1.25倍の上限一杯まで返済額が増えると、返済金額は12万5000円になります。
一般的な家計で、ローン返済額が月2万5000円も増えるのは、かなりの負担増ですし、前出のルールではカバーできないほどに短期金利が上昇した場合、最終的には返済期間の終了時に、元金と未払い利息を一括で返済せざるを得ないケースも生じてきます。