確定拠出年金(DC)は制度開始から22年を迎えます。その間、制度の利用者数は着実に増え、2022年3月末時点で企業型DCの加入者数は782万人、個人型239万人で、双方あわせて1000万人を超えています。
同時期のNISA(少額投資非課税制度)は1179万口座と、人数では及びませんが、企業型DCは普通の会社員への投資の普及という点で大きな役割を果たしてきました。
DC加入者は非加入者と比較して金融リテラシーが高い傾向
DCは加入者個々人が資産運用を行う制度です。制度スタート時には、さまざまな意見や不安の声がありました。「(貯蓄一辺倒の)日本人に資産運用はなじまない」「会社員に資産運用ができるのか」「(プロが担っている)確定給付型でも運用結果が思わしくないのに、素人が運用できるのか」などです。
2000年代初頭を振り返ってみると、1996年の日本版ビッグバン以降、金融取引の適正化のルール作りが求められていました。それとともに消費者の「金融教育」の必要性が提言されています。つまり、当時の「教育」は、資産運用ではなく、消費者被害の防止のために位置づけられていたようです。
そうした環境下でスタートしたDC制度は、情報提供すべき内容がガイドラインで定められました。また、「資産運用」への不安や危惧があったがゆえに、企業型DCの実施事業主は基本的に全加入対象者に投資教育を受講させる必要性を認識していました。
現在では、制度導入時の投資教育の実施率はほぼ100%となっています(※1)。その結果として、各種アンケート調査においてDCの効用が示されています。
たとえば、金融経済教育を受けたことがある人(回答者の29%)の半分は「勤め先の企業で確定拠出年金の導入/継続/教育を受けた」となっています(※2)。また、DC加入者の金融リテラシーは、非加入者よりも高いという調査結果が出ています(※3)。
※1 企業年金連合会「企業型確定拠出年金 投資教育ハンドブック 2022年9月改訂」
※2 投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査」2023年1月
※3 MUFG資産形成研究所「金融リテラシー1万人調査」