最低投資額600万円!どうすれば買える?

キーエンスの経営成績を見れば投資したくなる人は多いでしょう。しかしキーエンスは代表的な値がさ株で、2023年8月末の終値は6万0520円です。取引所では100株単位で売買する必要があるため、少なくともおよそ600万円を用意しなければ買えません。個人投資家の多くは手が出しづらいでしょう。

取引所は上場企業に投資単位を5万円以上~50万円未満とするよう求めています。2022年には株価が大きい企業へ投資単位の引き下げを要請しました。これが実を結び、2023年はファーストリテイリングや東京エレクトロンといった値がさ株で株式分割が相次ぎました。キーエンスの追随に期待する投資家は少なくないでしょう。

【有価証券上場規程第445 条(望ましい投資単位の水準への移行及び維持に係る努力等)】
上場内国会社は、上場内国株券の投資単位が5万円以上50万円未満となるよう、当該水準への移行及びその維持に努めるものとする。

引用:日本取引所グループ 有価証券上場規程(東京証券取引所)

しかしキーエンスが株式分割に踏み切るかは不透明です。同社は「投資単位の引下げに関する考え方及び方針等について」というリリースを毎年6月に公表しています。内容は毎年ほぼ同じで、「さまざまな要素を総合的に勘案して判断する」という方針を3行程度で示すものです。

取引所の要請後で最初のリリースとなった2023年版では、投資単位の引き下げに一定の理解を示す文言が追加されました。しかし「今後とも慎重に検討」とも記載されており、従来の方針を繰り返すにとどまっています。

もっとも、キーエンスは2017年と2019年に1:2の株式分割を実施していますが、当時も同様の方針を示していました。同リリースから投資単位の引き下げに対する態度を読み取ることは難しいようです。

どうしてもキーエンス株式を購入したいなら、証券会社の単元未満株取引を検討してください。100株未満の株数で取引できるサービスです。1株単位で売買できる場合、およそ6万円でキーエンス株式を取得できます。

文/若山卓也(わかやまFPサービス)