高利益率&好財務 「ファブレス」が作る収益体質
キーエンスはよく優良企業として紹介されます。製品の付加価値が高く、営業利益率は2014年度から9期連続で5割を超えました。
高収益体質は強固な財務にもつながっています。利益剰余金の積み上げが続いており、直近5期で1兆円以上増加しました。これは90%を超える自己資本比率の維持に貢献しています。
プライム市場に上場する製造業全体と比べると、キーエンスの営業利益率と自己資本比率がいかに高いかわかります。
【営業利益率と自己資本比率の比較(2022年度)】
営業利益率 | 自己資本比率 | |
キーエンス | 54.1% | 94.0% |
製造業(プライム市場) | 7.2% | 46.8% |
※製造業(プライム市場)は比較可能会社ベース(集計社数:765)
出所:キーエンス 決算短信、日本取引所グループ 調査レポート(決算短信集計結果)
キーエンスの高い利益率は、同社が「ファブレス」企業であることと無縁ではないでしょう。ファブレスとは自社で工場を持たず、製品は外部への委託製造で生産する業態です。キーエンスは工場の自動化を助ける企業ですが、自身は工場を所有しない戦略を採っているのです。
ファブレス企業は自社工場がないため設備も最低限で済みます。売上原価に含まれる減価償却費が抑えられ、結果として営業利益率が高くする効果に期待できます。キーエンスが5割もの営業利益率を維持できる理由の一つと考えられます。
【売上高と営業利益率の推移】