新しいSNS「Threads(スレッズ)」は、2023年7月の立ち上げからわずか5日間で1億人のユーザー登録を突破するなど、好調なスタートを切りました。起業家イーロン・マスクによって買収されたX(旧Twitter)を超える存在になるか注目されています。
この記事では、Threadsを立ち上げたメタ社の現状と、イーロン・マスク氏のXとの違いについて解説します。
2021年10月に社名を「フェイスブック」から「メタ・プラットフォームズ」に変更
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を提供する企業として、フェイスブックは2004年にマーク・ザッカーバーグ氏によって設立され、その後世界最大級のSNSに成長しました。
2012年に上場後は、大型M&Aを実行し、写真共有SNSの「Instagram」やチャットアプリ「ワッツアップ」を買収。また、事業の軸足をSNSからメタバース(仮想空間)分野に移行することを決定し、2021年10月には、社名を「フェイスブック」から「メタ・プラットフォームズ」に変更しました。
この変更に伴い、事業構成も再編成され、SNSサービスをまとめた「Family of Apps(FoA)」、仮想現実(VR)と拡張現実(AR)事業を中心とする「Reality Labs(RL)」の2つに分かれたのです。
短編動画「リール」が好調
米国のメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)は、2024年第1四半期(1~3月)の総売上高は前年同期比27%増の364億ドル(約5兆6700億円)だったと発表しました。このうち広告売上高は356億ドルで、こちらも前年同期比27%増となっています。
同社が導入した短編動画サービス「リール」は、広告主に注目されており、同社の収益源の一つになっています。
また、同社は、InstagramやFacebookなどのプラットホームを通じて、多種多様な広告商品を提供しており、数多くの企業が広告を出稿することで、収益を上げています。そのため、同社は今後も、広告主や企業のニーズに応えるために、新しい広告商品の開発を続けていくことが予想されます。
また、AIの普及によるブームや昨年の大幅な人員削減によるコスト削減策が功を奏し、業績が低迷していた時期を脱出し、再び上向きに推移しています。また、デジタル広告収入も回復しているのです。
マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、同社のアプリ全体で力強いエンゲージメントが引き続き見られると指摘しました。独自の大規模言語モデル「LLaMA(ラマ)2」や、短文投稿型の交流サイト「Threads(スレッズ)」、Instagramの動画作成機能「リール」、新しい人工知能(AI)製品、そして2023年10月に発売された仮想現実(VR)用のゴーグル型端末の新モデル「クエスト3」など、よりエキサイティングなロードマップを描いているのです。
アート、イベント、そしてゲームを中心に、エンターテインメントの世界では、常に新たな技術や発想が求められています。現在では、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった技術が急速に進化しており、さらには、現実世界と仮想空間を融合させた複合現実(MR)も開発が進んでいます。このように、エンターテインメントが進化していく中で、われわれは没入感のある、より臨場感のある体験を求めているのです。2030年までに、複合現実(MR)の市場規模はおよそ1兆円に達するとの試算もあるため、今後、メタ社の「クエスト3」もますます注目されることでしょう。