再建に成功 上場手続きもスタート
投資家が期待したように、コインチェック買収は成功を収めています。
マネックスは買収後、それまで未開示だったコインチェックの2018年3月期の業績見込みを公表しました。営業利益が537億円と前期(同7.86億円)を大幅に上回り、不正流出に伴う特別損失473億円を差し引いても63億円の税引き前利益が残る内容でした。
翌期は営業損失に転落しますが、暗号資産市場が再び活況となった2020年度と2021年度は2期連続で130億円以上の営業利益をたたき出します。買収前のマネックスグループ全体の営業利益が約86億円(2018年3月期)ですから、コインチェックのインパクトの大きさがうかがえます。
【コインチェックの業績の推移】
売上高 | 営業利益 | 純利益 | |
2019年3月期 | 21.15億円 | -26.36億円 | -27.43億円 |
2020年3月期 | 38.14億円 | 3.69億円 | 2.85億円 |
2021年3月期 | 208.25億円 | 137.72億円 | 103.05億円 |
2022年3月期 | 285.08億円 | 138.2億円 | 97.96億円 |
2023年3月期 | 74.84億円 | -8.35億円 | 4.85億円 |
出所:マネックスグループ 決算公告 コインチェック
【ビットコイン価格の推移(月足終値、2018年4月~2023年4月)】
マネックスは2022年3月、コインチェックの米ナスダック上場を発表しました。コインチェックを傘下とする持ち株会社を設立し、ナスダックに上場する特別買収目的会社(SPAC)との統合によって上場を目指す方法で、現在手続きを進めています。これに成功すれば、国内の暗号資産交換業者としては初の上場企業が誕生することとなります。
なお、上場にかかる審査が想定よりも長期化していることを受け、2023年7月としていた統合の期限を1年間延長させました。上場企業コインチェックの誕生は、もう少し待つ必要がありそうです。