60歳からの「紙モノ」整理をすすめる理由

私は片づけのセミナーを行ったり、さまざまなお宅に伺い、片づけのお手伝いを行ってきました。その際、片づけに関する相談を受けることがよくあります。

なかでもみなさんが頭を悩ませているのが「紙モノ」です。

毎日ポストに舞い込む郵便物やチラシから、新聞、雑誌、買い物のレシート、家電の取扱説明書、仕事関係の書類、年金などのお金に関わる紙や、マイナンバーカードのような重要モノまで、私たちはたくさんの「紙モノ」に囲まれています。紙はたいして場所をとらないからと、ついついそのままにしてしまっていませんか?

でも、60歳になったらぜひ「紙モノ」整理をはじめてほしいのです。それには3つの理由があります。

理由①本人や家族にしかできない

家にあふれる「紙モノ」には、貴重品や、銀行、保険、年金などの重要書類があります。こうしたものは、本人や家族しか触ることができません。DM(ダイレクトメール)といえども、個人情報のオンパレード。業者にすべてお任せというわけにはいかないのです。

ましてや60歳以降は、年金や保険などで、こうした書類の出番も増えていきます。一般的に、日頃は生活を回すのに困らない程度に片づいた家に暮らしている方でも、高齢になればなるほど病気や介護のリスクが増えます。それにつれて医療や介護などの社会的な書類も間違いなく増えていきます。

病気になって入院したり、そのときの体の状態によっては、自分自身でいろいろな手続きをすることが難しくなります。もし、自分にしかわからない場所に大事な書類をしまい込んでいると、いざ病気や介護が必要になったとき、子や配偶者はどこに何があるかわからず、慌てふためくことになってしまいます。

「紙モノ」整理は、老いが進むにつれて、だんだん「自分ごと」ではなく、家族やご近所、病院、地域包括支援センターなどの「みんなのこと」になっていくのです。

理由②相続が発生した時たいへんになる

もし残念ながら命が尽きて、相続になれば、「紙モノ」整理は、周りにとっては立派な「困りごと」になります。

私は住むあてのない「負動産」や、「名もなき相続」に奔走(ほんそう)している方からの相談もよく受けます。なかには「うちには財産がないから関係ない」という方がいらっしゃいますが、金額の大小にかかわらず、親族はお金に関わる遺品の整理をしなければなりません。将来の相続で親族に多大な迷惑をかけたくなければ、生前整理が必要です。

さらに、自分の家の整理だけでなく、実家の問題があります。できるだけ早く実家の「紙モノ」整理に手をつけることが、将来の困りごとを減らすことにつながります。