36年間で世帯数はどう変化したのか?
現に、世帯数と世帯人員の状況から、世帯数と構成の推移を見てみましょう。数字は1986年と2022年を比較したもので、カッコ内の数字は構成比です。
<世帯数と構成の推移>
・単独世帯
682万6000世帯(18.2%)→1785万2000世帯(32.9%)
・夫婦のみの世帯
540万1000世帯(14.4%)→1333万世帯(24.5%)
・夫婦と未婚の子のみの世帯
1552万5000世帯(41.4%)→1402万2000世帯(25.8%)
・ひとり親と未婚の子のみの世帯
190万8000世帯(5.1%)→366万6000世帯(6.8%)
・三世代世帯
575万7000世帯(15.3%)→208万6000世帯(3.8%)
・その他の世帯
212万7000世帯(5.7%)→335万3000世帯(6.2%)
出所:「国民生活基礎調査の概況」(2023年7月4日)
実数、構成比が共に上昇したのは「単独世帯」と「夫婦のみの世帯」、「ひとり親と未婚の子のみの世帯」でした。一方、低下したのは「夫婦と未婚の子のみの世帯」と「三世代世帯」でした。「その他の世帯」については、さまざまな世帯類型が含まれると考えられるので、ここでは念のため除外して考えます。
単独世帯が増加した背景
これらの数字を見て最も印象的なのは、やはり「単独世帯」の増加でしょう。1986年から2022年までの36年間で、実数だと2.6倍にもなっています。
また、「夫婦のみの世帯」も、それと同じくらいのペースで増え続けていますが、夫婦のみの世帯とは、結婚しても子供がいない夫婦の世帯だけでなく、同居していた子供が大人になって独立し、その親が夫婦で生活している世帯も含まれます。
後者の場合、いずれは夫婦のどちらかが先立つので、そうなった時は「単独世帯」に移行します。それを考えると、単独世帯の世帯数と構成比は、これからもしばらく増加傾向をたどると思われます。
三世代世帯の減少による懸念点
一方、この36年間で大幅に減少したのが「三世代世帯」です。簡単に言うと、祖父母、両親、その子供がひとつ屋根の下で生活している世帯のことです。
1986年当時の構成比は15.3%で、それこそ「夫婦のみの世帯」よりも高かったのですが、2022年では3.8%まで低下しています。これが意味するところは、「自分の老後は自分で見なければならない」ということです。
三世代世帯では、高齢の親の面倒を、その子供を中心にして家族皆で支えることが可能ですが、夫婦のみの世帯や単独世帯になると、自分の老後を誰かに頼ることができなくなります。
夫婦で生活していれば、そのどちらかが高齢になって身体が不自由になったとしても、いずれか片方がサポートすれば良いとも言えますが、そうなると「老々介護」になり、やはり社会問題化します。