楽しむ投資とは?

3つ目が「楽しむ投資」です。これは資産を増やすことだけでなく、「ワクワク感」を大切にした投資です。「資産形成の投資」はガチガチのやり方で投資の裁量が少ないため、やっていても楽しくないという話をときどき耳にします。こういった投資とは一線を画した投資です。

私は証券会社出身ということもあり、昔から多くの人にどういった投資をしたらよいのかとよく聞かれます。投資ですから、当然資産を作りたいからやりたいと思っている人ばかりと思われがちですが、むしろ値段が上がるか下がるかのドキドキ感を味わいたい、というのが主な目的なんだなと感じる方も実は意外と少なくありません。

そういった投資をやってみたい方にお勧めの投資が「楽しむ投資」です。

こういう投資を普段からやっているのは、昔ながらの対面型の証券会社で取引をしている、いわゆる富裕層の顧客です。このような方々は既に十分な資産を持っていて、老後資金が心配だからという方はほとんどいません。投資で損をしたからといって生活に困るという方は少数派です。

では、どうして投資をしているのかというと、「楽しい」からです。証券会社と取引すると、残念ながら投資資産にマイナスが出る方も少なくはありません。それでも証券会社は長い日本の歴史の中でなくなることなく、今でも存在しています。

一般的に顧客が損をしても企業として成り立つという業種はあまりありませんが、証券会社はその例外に当たります。なぜそうかといえば、顧客に提供しているのが値上がり益だけではなく、「ワクワク感」もあるからです。

昔ながらの証券会社で取引している顧客は、金銭的な利益を得ることだけでなく感情的なベネフィットも、投資のモチベーションになっているわけです。

〈POINT〉
・投資をリスクのレベルによって、3つのステージに分けて考える。
・資産が増えるのが楽しみな「ワクワク感」という動機も無視できない。

●第3回(「興味はあるが…損するのがこわい!」投資アレルギーに効く、“練習方法”)では、初心者におすすめのマネトレ投資法と、その効果について解説します。

『“こわい”がなくなる投資1年生の教科書』

佐藤彰 著
発行所 自由国民社
定価 1,540円(税込)