時系列で見る20代の生命保険の加入率

では、生命保険の加入率はどの程度なのでしょうか。

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」(2023年3月)によると、全年代のうち79.8%が、何らかの生命保険に加入していることが分かりました。そのうち、20代の生命保険加入率は51.5%です。

同レポートでは、「20歳代の加入率は51.5%で、全年代を大きく下回っている。ただ、生命保険は結婚・出産等のライフスタイルの変化のある30、40歳代での加入率が高く、20歳代での加入は少ない傾向がある。直近約20年間の推移を見ると、20歳代の加入率は、2022年で低下が見られるものの50%台を維持しており、加入率の観点からは現時点で若者の保険離れが加速しているとは明言し難い」としています。

時系列で見ると、20代の生命保険加入率は、

2004年・・・・・・56.2%
2007年・・・・・・57.0%
2010年・・・・・・52.5%
2013年・・・・・・54.6%
2016年・・・・・・55.7%
2019年・・・・・・59.2%
2022年・・・・・・51.5%

このように推移しました。

2004年以降の数値で、相対的に低い年は2回あります。それは2010年と2022年です。両者に共通するのは、経済的に厳しい時期だったということでしょうか。

2010年はリーマンショックの直後ですし、2022年は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、まだ完全に抜け出せていない時期でもあります。「経済的に厳しく、保険料を払えるだけの余裕がない」という人が多かったとしても、不思議ではありません。

とはいえ、過去の傾向から見て2019年にかけては生命保険加入率が着実に上昇していますから、2022年の加入率が低下したからと言って、20代で生命保険加入者が減少していると断言するのは、いささか無理があるでしょう。

それよりも、「若いうちは生命保険に加入する必要はない」といった類いの意見が、メディアなどを通じて流布されているにも関わらず、現時点に至るまで50%超の加入率を維持していることの方が、驚異的です。

日本人の生命保険神話は、非常に強いと言わざるを得ません。