20代で生命保険に加入する意味とは?
ところで同レポートでは、そうは言っても若者の生命保険加入率が低いことを指摘したうえで、生命保険に加入しない原因について、「生命保険への理解不足、金銭面、保険との接点の少なさが非加入の大きな要因だ。生命保険への理解促進につながる金融教育を社会全体で進めていくことに加え、保険会社としてはSNS等を活用した情報発信や、若者が加入しやすい保険商品(スマホで加入可能等)の提供等が今後の課題となりそうだ」と結論づけています。
この文章を読んだイメージとしては、若いうちから生命保険に加入することを促しているように読み取れますが、果たして若い人が生命保険に加入する意味は、どの程度あるのでしょうか。
メリット
確かに、生命保険に加入していれば、自分の身に何か起こったとしても、残された人(保険金の受取人)への経済的保障が手厚く行われるため安心できるのかもしれません。
デメリット
ですが、20代の死亡率が何パーセントになるのかをご存じでしょうか。
厚生労働省の「令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況」の数字によると、令和元年における25歳から29歳までの死亡率は0.035%です。この数字は男性と女性を合わせた総数ベースのものですが、それ以上の年齢階層別の死亡率を見ると、
30歳~34歳・・・・・・0.046%
35歳~39歳・・・・・・0.061%
40歳~44歳・・・・・・0.091%
45歳~49歳・・・・・・0.145%
50歳~54歳・・・・・・0.231%
55歳~59歳・・・・・・0.360%
さらに上の年齢階層の数字もありますが、そこまで行くと生命保険の加入対象者からほぼ外れるので、ここまでにしておきます。
死亡率とは、日本の場合、通常は1年あたり「人口10万人に対する死亡者数」をベースに計算されます。たとえば55歳~59歳の死亡率0.360%とは、この年齢層になると1年間で10万人中360人が死亡することを意味します。
しかし、考えてみると55歳から59歳までの年齢層になったとしても、死亡率は0.360%でしかないのです。つまり、0.360%のリスクにおびえて、大勢の人たちが生命保険に加入していることになります。