300億円の赤字でリストラ…実は失敗続きだった経営統合
今でこそバンダイナムコは2社の開発力を合わせさまざまなコンテンツをリリースしていますが、当初からうまく融合が進んだわけではありません。統合して最初の中期経営計画(2006~2008年度)の多くが未達に終わったばかりか、2010年3月期には約300億円の最終赤字に転落してしまいます。
【2006~2008年度中期経営計画と実績(2009年3月期)】
出所:バンダイナムコホールディングス アニュアルリポート
【統合後の純利益の推移】
出所:バンダイナムコホールディングス 決算短信より著者作成
なぜ統合はうまくいかなかったのでしょうか。2010年2月に公表した「バンダイナムコグループ・リスタートプラン」によると、同社は統合を優先するあまり、シナジーを発揮するどころか両社の強みを打ち消してしまったと明かしています。事業の進め方は2社で異なっていましたが、それをトップダウン型の指示系統に統一した結果、現場のスピードが低下し環境やユーザーの変化に対応できなくなってしまったようです。
バンダイナムコは事業の進め方を旧バンダイと旧ナムコの方法に戻すとともに、事業と人員の整理にも乗り出します。募った希望退職者はグループ全体では600人にも上りました。これらの取り組みが奏功し、現在ではROE 14.6%の高収益企業へと成長しています(2023年3月期)。