株と不動産の危険な高騰

――こうやってお金を借りやすくした結果、お金の貸し出しが増え、それが株や不動産に流れていった。まずは、土地公示価格 ※1の推移を見てみよう。

※1 地価公示法にもとづいて、国土交通省の土地鑑定委員会が公示する土地の価格。

(図1-6)土地の価格が急激に高く!

太郎:公定歩合を下げ始めた1986年から急激に土地の価格が上がってるね。

――貸し出されたお金は土地ころがしに使われた。土地ころがしというのは、これから買おうとする土地を担保にして、銀行等からお金を借り、値上がりしたらすぐに売る、という行為だ。

これをみんなが繰り返したので、土地の値段がどんどん上がり、一時は東京23区の土地の値段でアメリカ全土が買えると言われるほどになった。

次は、株。日経平均株価の推移を見てみよう。

(図1-7)株価のピークは土地代のピークの2年前

太郎:土地の価格の推移とほぼ同じグラフの形だね。ピークで4万円近くなっている。今と全然違う。

――株価は1989年をピークに下降に転じたが、土地の値段は下がらず、1991年まで上がり続けたんだ。