計画的な資産形成には、経済分野へのアンテナ感度を高めることが不可欠。しかし、豊富なデータの中から自分が知りたい内容のものを選び数値変化を把握するには、正しい知識と情報の読み解き方を身につける必要があります。もちろん、その背景にある歴史的な出来事への深い理解も外せません。

話題の書籍『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』では、著者で弁護士の明石順平氏が賃金や物価など、日常生活にまつわる数値データから読み解ける客観的事実について優しく解説。今回は本書の第1章「僕の給料は、この国の経済を映している」の一部を特別に公開します。(全4回)

●第1回:賃金、GDP…世界各国との比較データで浮き彫りになる、日本の“衝撃的なマズさ”

※本稿は、明石順平著『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』(大和書房)の一部を再編集したものです。

いつから賃金は下がり始めた?

――バブルというのは、ある資産の価格が異常に上がってしまう現象のことだ。1990年前後に起こった日本のバブルでは、株と不動産が異常に値上がりした。このバブルが起きるきっかけとなったのが、日銀による公定歩合(こうていぶあい)の引き下げだ。

公定歩合というのは、日本銀行(日銀)が民間銀行へお金を貸すときの金利のことだ。これを下げると、民間銀行が企業や個人へ貸すお金の金利も下がるようになっていた。

太郎:金利って何?

――お金のレンタル料のことだ。例えば金利1%で100万円借りたとすると、100万円×0.01=1万円がレンタル料ということになる。返すときには100万円に加えて1万円を支払う必要がある。さて、ここで金利を下げるとどうなるかな。

太郎:返すときに支払うレンタル料が減るということだから、借りやすくなるね。

――金利を下げるとお金を借りやすくなる。だから借りる会社や人が増える。そして、みんな借りたお金で手っ取り早く儲けたいと考えると、株や不動産を買うことになる。

太郎:その資産を買ったときより高い値段で売ることができれば、差額で儲かるからだね。でも、なんで公定歩合を引き下げることになったの?

――プラザ合意が原因だ。プラザ合意というのは、1985年9月22日に、先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)により発表された、為替レート安定化に関する合意のこと。為替レートとは、通貨間の交換比率のことだ。

例えば1ドル100円だったら、1ドルと100円を交換できることになる。プラザ合意以前は1ドル240円ぐらいだった。

太郎:1ドル手に入れるために240円も支払わないといけないから、円の価値が今よりも低かったんだね。

――そしてプラザ合意の具体的な中身は、ドルを安くして、それ以外の先進国の通貨を高くするというものだ。日本とアメリカの関係でいえば、円を高くしてドルを安くすることになる。これを円高ドル安と言う。