今トルコ・リラ絡みの金融商品を購入するのは…
現在、一部の証券会社が「トルコ・リラ建ゼロクーポン社債」を販売しています。ゼロクーポン債とは、最初から利息相当分を額面価格から割り引いて販売される債券のことです。
たとえば額面価格が100だとすると、90とか80といった価格で購入でき、償還時に額面金額で償還されるというものです。
ちなみに現在、証券会社が販売しているトルコ・リラ建ゼロクーポン社債は、購入金額が額面金額の52.56%で購入できるもので、約2年2カ月後に償還を迎えた時の利回りは、年35.23%にもなるとされています。
外貨ベースで、約2年2カ月後には投資金額が1.9倍になるなどと表示されていますが、さらにトルコ・リラ安が進んだ場合、当然のことですが、為替差損が発生するため、上記の利回りは実現しません。
さらに言うと、トルコ・リラ建ての債券を購入するためには、手持ちの円をトルコ・リラに交換し、償還された時はトルコ・リラ建ての償還金を円に交換する必要があります。もちろん、ただでは交換してくれません。「為替手数料」というコストを負担する必要があります。
トルコ・リラの為替手数料は、額面200万トルコ・リラの場合だと、1トルコ・リラあたり0.5円となっています。これが往復でかかるとしたら、1円です。現在のトルコ・リラ/円のレートは、1トルコ・リラ=6.95円程度ですから、往復で1円の為替手数料となると、経費率は14.38%にもなります。
逆に言えば、これだけの手数料を取っている金融機関からすると、このゼロクーポン債を売れば売るほど、為替手数料で大きくもうけられることになります。
金融機関に多額のコストを差し引かれ、かつエルドアン大統領の再選によって先行き不透明感が強まるトルコ・リラが絡んだ金融商品を購入する意味があるのかどうか。それは資産運用というよりは、かなり投機に近い行為であるように思えてなりません。