信託報酬は「専門家への運用対価」のこと

信託報酬は運用や管理にかかる費用で、運用管理費とも呼ばれる。

おさらいとなるが、投資信託は投資家から集めたお金をファンド・マネージャーと呼ばれる専門家が運用する商品である。プロに運用を任せられるので、投資初心者でも始めやすい点が特徴。また、積立投資なら100円からなど、少ない資金で投資できるのも魅力だ。

信託報酬は簡単に言えば、専門家の運用にかかる対価といえる。

信託報酬は投資信託の保有期間、その保有額と信託報酬の年率に応じて毎日差し引かれる。信託報酬1.0%、評価額800万円の投資信託を保有している場合、かかる信託報酬額は以下の計算で求められる。

800万円(保有評価額)×1.0%(信託報酬年率)÷365(日割り計算)≒219円

上記の場合、毎日220円ほどが信託財産から差し引かれることとなる。もちろん日々の評価額は変動するが、おおよその信託報酬額はこのように計算できる。

長期運用を前提とした投資信託でコストが運用成果に与える影響は小さくない。とはいえ、単純に信託報酬が安い=良い商品とも限らないのがむずかしいところだ。

投資信託は投資家に代わって専門家が運用するといった性質上、どのファンドを購入しても信託報酬は発生する。なかでも「日経平均株価」や「S&P500」など、ベンチマーク(市場平均)連動を目標とした、いわゆる「インデックスファンド(パッシブファンド)」は信託報酬が低い傾向にある。

というのも、インデックスファンドは目標となる株価指数に採用されるものとほぼ同じ銘柄で構成されているのだ。原則的には「インデックスファンドの構成銘柄と構成比率=目標指数の構成銘柄と構成比率」となっている。銘柄組み換え時の手間を少なくし、低コストを実現した。

一方、ベンチマーク以上の利益を追求し、積極的に銘柄のリサーチや組み替えをする「アクティブファンド」は信託報酬が高くなるのが一般的だ。

例えば、運用機関によってファンド・マネージャーが調査のために企業訪問をおこなうことがある。そして市場や企業の動向を見極め、独自の観点で分析した銘柄をファンドに組み込む。調査や分析に人的コストがかかる分、信託報酬も高くなる仕組みだ。