モバイルの不振で過去最大の赤字に

楽天グループを巡っては、「楽天モバイル」の不調を伝えるニュースが後を絶ちません。楽天モバイルは2019年10月に自社の回線網を利用する「MNO(Mobile Network Operator)」サービスを開始しますが、その年から楽天グループ全体で赤字を計上するようになりました。

【楽天グループの純利益】

楽天グループ 決算短信より著者作成

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赤字の主因とみられているのが、通信基地局の整備負担です。他社の回線を利用する「MVNO(Mobile Virtual Network Operator)」と異なり、MNOでは自社で通信環境を用意しなければいけません。その先行投資が重く、直近の2022年12月期では過去最大となる3700億円以上の純損失を計上しました。「モバイル」セグメント単体で4900億円以上の赤字となっており、楽天市場などの「インターネットサービス」や楽天カードなどの「フィンテック」の黒字を打ち消しています。

【セグメント別の業績(2022年12月期)】

楽天グループ 決算短信より著者作成

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楽天モバイルでは、当初行っていた通信料金を1年間無料とするキャンペーンが終了し、徐々に通信料金を支払うユーザーが増えているようです。また端末販売も増加したことから、四半期ベースではモバイルセグメントの業績は改善が見られました(2022年12月期)。

楽天モバイルは、今後もしばらくは投資が先行する展開が続きますが、2023年中に予定している通信エリアの人口カバー率99%達成後は、月に約150億円のコスト削減が期待できるとしています。もくろみ通りネットワーク費用が減少すれば、楽天モバイル事業は意外に早く黒字化するかもしれません。

【楽天グループの株価】

Investing.comより著者作成

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