自分の老後をイメージした際に抱く「不安」はお金が理由であることが少なくありません。その不安を和らげるには、基本的には「貯蓄」や「投資」が必要です。しかし、これらを継続的に実行するには、「自分の価値観を整理し、立ち位置を確認して、どうするかを考える」ことが大事とファイナンシャルプランナー・山崎俊輔氏は言います。

話題の著書『お金の悩みは4マスで考える』では、「自身の価値観を整理し、立ち位置を確認」するのに4マス図を活用して、“見える化”することを提唱しています。今回は、本書冒頭の「はじめに」、第1章「お金とココロの問題を解決したい」の一部を特別に公開します。(全3回)

※本稿は山崎俊輔著『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

「自分の人生とお金の最適解」を見つけるために

お金の悩み、ありませんか? ありますよね?

・普通にやりくりしているつもりでも、毎月給料前には残高がほぼゼロ……
・推しが愛しすぎて、お金がなかなか貯められない
・旅行に行ったり、おいしいものを食べたりして、ついお金を使いすぎてしまう。でも、貯めたいけど今しかできないこともしたい
・最近、「貯蓄から投資へ」とか言われているし、「投資」が大切らしいと話には聞くけれど、なんとなく怖くて手が出せない……
・遥か先だけど、老後を考えてiDeCoとかNISAを始めなきゃと思っている。始めるなら、どっちから始めるべきなのかな
・結婚したばかりで子どもも欲しいから、そろそろ本気でお金のことを考えないと
・子どもが生まれて、きちんとお金を貯めたり増やしたりしたいけど、食費とか洋服とか、旅行とか保険とか、何にどの程度かけていいかわからない

お金の悩みはどこか人生相談につながっているところがあります。「理屈としてはそうかもしれないけど、自分ごととしてどう考えるべきか?」が整理できないと、気持ちがスッキリしないのです。

いろんな人がさまざまな角度からアドバイスしてきます。そのうえスマホを見れば、お金に関するたくさんの情報があふれています。しかし、そのなかで「自分なりの答え」を見つけることが大事だったりします。

私は、ファイナンシャルプランナー(FP)として20年以上活動してきました。確定拠出年金とリタイアメントプランを専門とする一方で、若い世代のためのマネーリテラシー向上や投資教育にも力を入れています。

日本経済新聞電子版やマネー現代、プレジデントオンラインなど、いろんな媒体に月20本ほど、マネー記事を書いたり、年40〜50本くらい講演したりしています。

こうした活動をするなかで感じていたことがあります。

FPの相談では、30〜40年といった長期スパンの人生計画のことを、「ライフプラン」といいます。結婚や出産、マイホームの購入などの大きい出来事や、旅行や引っ越しなどのまとまったお金のかかる出来事を想定し、長期のお金の計画を立ててみます。お金の相談にこられた方に、ライフプランを書いてもらうことが、FPの仕事の基本中の基本だったりします。

しかし、私はあまりこのライフプランが好きではありません。ライフプランを立てるというと型にはめてテンプレートにしがちで、それこそ無限に選択肢があることを忘れがちだからです。

何歳で結婚するか、そもそも結婚するかどうか、子どもが生まれるかどうか、子どもの数は何人か、病気をするかどうか、持ち家か賃貸か、親にお金があるかどうか、親の介護が必要かどうか、共働きか専業主婦にするか、正社員共働きでがんばるかパートにするか、それこそたくさん分岐点があります。

そのうえ、数年先の未来が変わることもしばしばです。おひとりさま人生と思っていたら、1年後には結婚などということもありますよね。

多様性の時代とよく言われますが、人生はもともと多様性の宝庫です。選択肢の積み重ねで、同じ人生はひとつとしてありません。そしてお金の問題もひとりひとり違ってくるものです。

テンプレートから少し離れて、「自分らしいお金の増やし方」、「自分の人生とお金の最適解」を見つけてほしいと考えています。