米国のIT業界では大手テック企業を中心に、2022年から大規模な従業員の解雇が続々と進められている。そうした大量解雇の動きは業界を越え、金融業界にも広がり始めているという。

多くの企業がリストラを行うこの状況には、どのような背景があるのだろうか。人員削減が株価に与える影響を交えて解説していく。

アマゾン、メタ、ツイッター…大手テック企業が大量解雇を実施

米労働省が発表した2022年12月のデータでは、国全体の雇用情勢を知るうえで重要視される「非農業部門就業者数(雇用者数)」が前月から約22万3000人増加。失業率は約50年ぶりの低水準となる3.5%を記録した。不安定な世界情勢ではありながらも、米国内の雇用は安定傾向にあると考えられる。

一方で、IT業界の雇用情勢は異なる動きを見せている。

2023年1月、アマゾンが約1万8000人以上もの従業員を解雇する計画を発表して大きな話題となった。これまでのIT業界の歴史において最大規模の人員削減である。

FacebookやInstagramを運営するメタは、2022年11月時点で創業以来最大規模となる約1万1000人の解雇に踏み切ることを発表。同じくSNS大手のツイッターでは、テスラのCEOイーロン・マスク氏による買収後に、約3700名の社員が解雇されたことも記憶に新しい。

それ以外にも、グーグルは約1万2000人、マイクロソフトは約1万人、セールスフォースは約8000人と、米国を代表する大手テック企業が続々と人員削減計画を発表した。大手企業を中心に、多くのIT企業で従業員の解雇が進められている。

1000社を超えるテック系企業の解雇情報をまとめるwebサイト「Layoffs.fyi」では、2022年11月から2023年1月の期間中、全世界で12万人以上が解雇されたというデータが公開された。IT企業の雇用状況は深刻な状況にあると見られている。