設定で1000億円以上集めた注目ファンド

「ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンド」は、2021年12月に設定された投資信託です。当初から約1180億円もの資金を集め、純資産総額は翌年3月に2000億円、同年9月には3000億円に到達しました。

ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは、なぜこれほど多くの資金を惹きつけるのでしょうか。

【ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンド】
 

出所:投資信託協会「投信総合検索ライブラリー」より著者作成

イギリスの好成績ファンドが日本初上陸で話題

ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドが資金を集めたのは、「ファンドスミス社」のネームバリューにあると考えられます。

ファンドスミス社は、テリー・スミス氏によって2010年に設立されたイギリスの運用会社です。旗艦ファンド「ファンドスミス・エクイティ・ファンド」の設定来リターンは約460%と、世界株式(同270%)を大きく上回る成績を残しました(2022年6月末時点)。

テリー・スミス氏はイギリスの老舗金融機関「バークレイズ銀行」出身で、その投資哲学や実績などから“英国のウォーレン・バフェット”と呼ばれています。バフェット氏は著名な投資家の1人で、「never invest in a business you cannot understand(理解できないものに投資してはいけない)」や「Don't watch the market closely(株式市場を注視しすぎてはいけない)」など、これまでさまざまな金言を残してきました。スミス氏も、同じような哲学を持っていることで知られています。

【テリー・スミスの「投資の10の黄金ルール」】
1.理解できないものには投資しない
2.マーケットタイミングを計らない
3.運用コストを最小限に
4.売買頻度を最小限に
5.過度な分散投資を避ける
6.税制上のメリットだけを重視して投資しない
7.投下資本に対して十分な見返りを得られない企業に投資しない
8.天才やカリスマ経営者に依存した企業に投資しない
9.投資したいと思えるビジネスに、適切な価格で投資する
10.優良企業に投資後は、株価の動きに一喜一憂しない

【組入上位10銘柄(2022年6月末時点)】

銘柄   比率  
マイクロソフト 8.4%
ノボ・ノルディスク 6.0%
フィリップ・モリス・インターナショナル   5.3%
ロレアル 4.9%
エスティローダー 4.8%
アイデックスラボラトリーズ 4.2%
ペプシコ 4.0%
マコーミック 4.0%
ストライカー 3.8%
オートマチック・データ・プロセシング 3.5%

 

ファンドスミス・グローバル・エクイティ・ファンドは、この旗艦ファンドと同一の運用を行う日本初の公募投資信託です。ファンドスミス社やテリー・スミス氏に対する投資家の関心は高く、同銘柄への資金流入へつながったと考えられます。