マスク氏による保有株の売却も値下がりの要因

マスク氏が、自身が保有するテスラの株式を売却したことも無視できない。一般的に企業が自社株を売却する行為は、市場に出回る株式の数を増やすこととなるため需給のバランスが崩れ、株価の値下がりを誘発する。

マスク氏は2022年12月「今後2年間は、自身が所有するテスラの株式を売却することはないだろう」という旨の発言をしているが、その言葉を手放しで信じる投資家は多くないだろう。

マスク氏は2022年4月にも自身が保有するテスラ株を84億ドル相当分を売却。その際「今後は自分が保有するテスラ株を売却する予定はない」とTwitterに投稿した。しかし、表明に反して同年の8月と11月、12月に3度売却を行っている。

この前例を踏まえると、投資家はマスク氏の「売却しない」という発言を安易に信用することはできないはずだ。

ジョークが過ぎる!? マスク氏の言動には要注意

テスラ株へ投資するならマスク氏の動向に日々目を向けておかなければならない。

過去にマスク氏は、Twitterに「テスラが経営破綻した」という旨の投稿をして、株価が5%減少する事態を招いたことがある。投稿日は4月1日。エイプリルフールのジョークだった。しかし、一部の投資家は笑えない冗談だとシビアな目を向けた。

最近では2022年11月の米中間選挙に向け、マスク氏が無党派の有権者層に共和党の議員候補に投票するようTwitterで呼びかけたことが話題を集めた。SNS運営企業CEOが特定の政党へ投票を促す行為は異例であり、マスク氏自身の「Twitterは政治に対して中立的な立場でいるべき」とした過去の発言と食い違うという指摘が多く出されている。

マスク氏の政治的発言を受けてテスラ社の購入をキャンセルしたり、それまで愛車として使用していた車を手放したりする人もいたという。 テスラの株主は、マスク氏になるべく不要な言動を控えて欲しいと切に願っているだろう。