都心オフィス空室率6.47%、気になる賃料の下落

オフィスビル仲介業者大手の三鬼商事が1月12日に発表した、2022年12月の東京都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の平均空室率は6.47%で、前月比0.09%の上昇となりました。

この統計データは、東京ビジネス地区(都心5区)内にある基準階面積100坪以上の主要貸事務所を対象にして、対象ビルの入居状況の動向を分析したものです。空室率以外にも平均賃料などの数字も公表されています。ちなみに2022年12月時点における平均賃料は、新築と既存を合わせて1坪あたり2万59円で、11月に比べて22円の下落となりました。

一般的に、空室率が4~5%を超えると賃料の下落が始まると言われています。
直近、空室率が4%を超えたのは2020年11月のことです。その前月が3.93%でしたが、11月に4.33%に上昇しました。

ただ、今回の空室率の上昇局面においては、4%に達する前から家賃の下落が始まっています。平均賃料は2020年7月につけた2万3014円がピークで、そこから連続して下げ続け、2022年12月時点で29カ月連続の下落になりました。

空室率の過去を遡ってみると、年1回の公表だった1990年12月に0.39%まで低下していますが、この時は不動産バブルのピークだった頃と、ほぼ重なります。その後、不動産バブル経済が弾け、4年後の1994年12月時点における空室率は、8.08%まで上昇した後、1997年12月には3.77%まで低下しました。

2002年からは毎月公表されるようになりましたが、この間、空室率は上昇傾向をたどり、2003年6月には8.57%まで上昇しました。この時期は金融不安による緊張が最高に達した時と重なります。「貸し渋り」や「貸し剥がし」によって、企業倒産件数は1999年の1万5352件から2000年の1万8769件、2001年の1万9164件というように増加傾向をたどった後、若干、倒産件数自体は落ち着きつつあったものの、それでも2002年の1万9087件、2003年の1万6255件というように高水準の最中にありました。