メリットがあるのは成長市場に投資し続ける時

また、長期投資には一般的に、次のようなメリットがあると言われています。

①    長期的な成長をリターンに反映できる可能性がある。
②    複利運用効果が得られる。
③    投資期間を長くするほど損をするリスクが減る。

確かに、そういう側面はありますが、これらのメリットは絶対的なものではありません。

たとえば①ですが、これはあくまでも長期的に成長する投資対象に資金を投じた場合、という前提条件が付きます。1989年12月末から今までの33年間、日経平均株価をひたすら持ち続けてもリターンを得るどころか損をしている状態ですが、S&P500を保有していたら、実に11倍以上になっています。つまり、長期投資で成果を得るためには、長期的に成長する投資対象を選ばなければなりません。

次に②の複利運用効果ですが、これも落とし穴があります。一般的な説明としては「収益が元本に加算されるので、長期保有するほど複利効果によって大きなリターンが得られる」ということですが、複利効果は一定の期間中にプラスのリターンが生じて初めて得られます。

しかし、投資信託は基準価額が常に変動しています。値上がりすれば複利効果的なものは得られますが、値下がりすれば複利効果などは一切発生しません。ある年の運用成績がプラスで、その時の収益が元加されたのに翌年、大きく下落したら、前年の利益も一緒に無くなってしまうことにもなりかねません。結果、運用効率が上がるどころか下がる恐れもあるのです。預貯金で言われている複利効果を投資信託に当てはめて考えるのは、いささか無理があります。