「コスト」重視は必ずしもインデックス選好にあらず

「商品のコストとリターンの整合性」を重視する姿勢は、従来であれば低コストのインデックスファンドを選好するという姿勢と同義だった。しかし、現在のようにインデックスファンドの品揃えが一巡した後では、今更、運用会社にインデックスファンドの提案を求めてはいないと考えられる。販売会社の本部で求める商品開発力は、市場の変化を踏まえて、変化した市場環境においてリターンの獲得が期待できる商品ということになる。

もはや、「インデックスファンドの積立投資をして資産形成をしましょう」という呼びかけだけでは顧客は納得しない。2021年末までであれば、インデックスファンドを積立投資するだけで、米国株式でも先進国株式でも日本株式でもプラスのリターンが得られた。特に、窓口で相談して預貯金から初めて投資信託に軸足を移した投資家には、投資開始から半年後、1年後のリターンは気がかりだ。その結果がプラスであれば、安心して投資を継続できるというものだ。しかし、2022年に投資を始めた投資家は、インデックスファンドでは納得のいくリターンは得られないようになってしまっている。支店の営業現場からも「トレンドに適合する商品」に対する評価が低下し、「商品のコストとリターンの整合性」への評価が高まっているのは、顧客が投資によってリターンを獲得することが格段に難しくなっていることが背景にあると考えられる。