投資信託のその他のコスト
投資信託には販売手数料・信託報酬・信託財産留保額の他にも、以下のコストがかかる。
外国投資信託の設定にかかるコスト
国内投信はファンド設定に伴うコストは発生しないが、外国投信は目論見書や関係法人との間の契約締結に関して弁護士が介在するのでその分のコストがかかる。また、ミニマムチャージ(「残高×一定料率」:「最低固定費」のいずれか大きい額)がかかる。
国内投信にはミニマムチャージがないのが一般的だが、外国投信は残高によらず投資家が負担する最低固定費は一定である。よって、残高が少ないファンドでの投資家負担は重くなるので注意が必要だ。さらに、国内投信では運用会社は社内にアナリストやファンドマネージャーがいて、独自の企業分析を行っている。しかし、外国投信では海外の金融機関に費用(委託調査費)を払って運用を任せるケースが多い。そして、最終損益以上の委託調査費を払っている運用会社もある。ファンドの受益者(購入者)が直接負担するコストではないものの、海外株式の人気によって委託調査費の負担は増しており、運用会社の収益を圧迫する要因になる恐れがある。将来的には外注一辺倒ではなく、自社運用と委託運用の比率を考えるべきだろう。
目論見書や運用報告書の作成コスト
投資信託の目論見書や運用報告書といった資料は、運用会社が作成している。こういった資料の印刷費は年間数億円に達することもあり、運用会社の収益を圧迫している。しかし、この費用を必ず運用会社が負担しなければいけないというわけではなく、一部の運用会社はそれぞれのファンド、つまり受益者に負担させている。この費用は信託報酬には現れず、別のコストということになる。この印刷費用を運用会社が負担するのかファンド負担とするのかはそれぞれの会社によって異なるが、純資産残高が小さいファンドでの印刷費の負担は大きくなるので、注意すべきである。また、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建て資産の保管などに要する費用等がファンドから支払われることがある。ただし、運用状況によって変わるので、事前にどの程度の料率かわからないという点に注意が必要だ。