名目信託報酬と実質信託報酬の違いとは?

ファンド・オブ・ファンズの目論見書を見ると、目論見書に掲載された「名目」の信託報酬に加え、投資先の投資信託の運用報酬料率を加算した「実質的」な信託報酬が掲載されている場合がある。ファンド・オブ・ファンズとは、複数の投資信託に投資する投資信託のことである。通常の投資信託が株式や債券に直接投資するのに対し、ファンド・オブ・ファンズは複数の投資信託に投資する。ファンド・オブ・ファンズのメリットのひとつに、複数のファンドに分散投資することによるリスク低減効果がある。そして、"実質的な信託報酬"とは、ファンド・オブ・ファンズが投資する投資信託の手数料を考慮した、投資信託の運用にかかる手数料である。この手数料は、信託財産から支払われ、信託の運用・販売に関わる会社のサービスに対する報酬に充当される。この手数料は、投資家にとって間接的なコストである。

ファンド・オブ・ファンズの場合、ファンドの信託管理手数料と投資対象信託の信託管理手数料の両方が投資家の負担となる。したがって、投資家に対しては、投資先信託の手数料を含めた信託管理手数料の合計額を開示する必要があり、目論見書などの書類には「実質的な信託報酬」として記載されていることが多い。ただし、ファンド・オブ・ファンズは複数のファンドに投資することが多く、各ファンドの組入比率は変動するため、目論見書等に記載された実質信託報酬は概算となる。したがって、目論見書等に記載される実質信託報酬は、一般的にファンドの純資産額に対して年率約○%と記載されているのである。名目信託報酬が低くても、実質信託報酬との差が2%以上あるファンドもある。名目信託報酬だけではなく、実質信託報酬も調べて購入するべきだろう。

信託財産留保額は投資信託を解約するときに支払う費用

信託財産留保額とは、投資信託を解約する際に投資家が支払う費用のことで、解約代金から、「基準価額に対して何%」といった形で差し引かれる。信託財産留保額は、投資信託を追加設定や途中解約する際に発生する料金で、ファンドの運用の安定性を保つと同時に、長期に保有する受益者との公平性を確保するために設けられている。投資信託の種類によって差し引かれる金額は異なり、元本に対して0.1%程度が信託財産留保額として投資信託に残されて解約される。ただ、信託財産留保額がかからない投資信託もある。