資産が大きくなれば低リスクで資産を減らさない運用を選択
次に、「投資の有無による差は年収が上がるほど開く傾向がある」ということですが、レポートによると、「世帯年収が上がるほど、投資の有無による資産額の差が大きくなっている」ということでした。つまり、世帯年収が増えるほど、投資をしていた方は資産額が増える傾向が見られると言うのです。
ただ、これも注意点があって、投資をしておけば、世帯年収が上がるにつれて資産額が加速度的に増えることを意味しているのではありません。あくまでもそうなる可能性があるというだけの話。冷静に考えると、世帯年収が上がるほど投資に資金を振り向ける余裕が生まれるので、投資のリターンが向上すれば、資産額が加速度的に増える可能性は高まるでしょう。
しかし、投資はやり方次第でもろ刃の剣になります。例えば外資系金融機関の経営者となり、多額の年俸をもらっていたにも関わらず、個人的な投資で大失敗をし、個人資産の大半を失った……という話も決して珍しくありません。
さらに「低リスク商品は資産の多い人に、高リスク商品は資産の少ない人に選ばれがち?」という、クエスチョンマークがついた設問に対する分析結果は、おそらく的を射た結果ではないでしょうか。これは、保有資産額が2000万円以上の世帯において、国内債券や外国債券といった、比較的低リスクの金融商品保有割合が高い反面、保有資産額300万円未満の世帯において、暗号資産(レポートでは仮想通貨)とFXの保有割合が高いことから導き出された推論ですが、保有資産の額がそれなりに大きくなると、一所懸命に増やすのではなく、築き上げた資産をいかにして減らすことなく守るかという点に、焦点が移るからでしょう。