総合情報サイト「オールアバウト」が公表した家計のアンケート調査によると、資産の差は年収の差よりも投資の有無によって生まれる、との調査結果を公表しました。この調査は、月間ユニークユーザー数2500万の訪問者を持つオールアバウトが行っている生活者調査の一環です。今回の調査期間は、2021年2月から2022年7月までの1年5カ月間にわたって行われたもので、対象者総数は4798人。男女比は男性が約35%、女性が約65%で、年齢は20歳から74歳まで。日本全国を対象にしています。

年収が同じでも投資の有無で資産額に差?

調査によると、「投資をしている人としていない人を比較したら、収入が同じ場合、投資をしている人のほうが明らかに資産額が多い=収入格差以上に投資格差がある」という結果になりました。

まず世帯年収と資産額で見ると、同じ世帯年収でも投資をしているか、していないかによって、資産額に差が生じています。世帯年収150万円はほぼ同額で、世帯年収750万円、ならびに1150万円は僅差となっていますが、それ以外の世帯年収ではおおむね投資をしている世帯の資産額が、投資をしていない世帯の資産額を上回っています。

振り返ると、2022年は年初から世界的な株価急落の影響で1年間の運用リターンがマイナスだったという人も少なくないと思われますが、この10年を見れば、アベノミクスの効果もあって株価は大きく値上がりしました。米国の株価もしかりです。

一方で預貯金金利は、リーマンショック後の世界的な景気後退局面からの脱出を目的とした超金融緩和政策によって、限りなくゼロ金利に近い水準にまで低下しました。日本においては、米国やユーロ経済圏が金融引き締めに政策転換をはかった2022年においても、金融政策の方針転換が行われていないため、預貯金金利は相変わらず年0.002%程度の水準で推移しています。

年収は同じでも、投資しているか、していないかによって資産額に大きな差が生じたのは、こうした環境の違いが大きかったと考えられます。

仮に1989年から1999年までの10年間で同様の調査を行ったら、恐らく投資している人の資産額は、株価の下落によって相当厳しい状況にあったと考えられる一方で、預貯金金利はまだ多少なりともあったので、投資していない人の方が、資産額が多く残されていた可能性はあります。つまり、この設問から投資した方が、資産が増えると考えるのは、いささか早計と考えるべきでしょう。