「資産が少ないから投機的手法」では、資産を着実に増やせない

逆に、保有資産額が少ない世帯においては、

「守りだけに徹していたら、いつまで経っても資産は増えない」→「少しでも早く増やして安心するためには、多少のリスクテイクも厭わない」→「かつ少額資金で大きく増やせるのは、暗号資産かFX」

という考え方なのだと思われますが、これは根本的に間違った投資行動と言えるでしょう。

確かに、巷の本屋を覗けば、資産運用のコーナーに「100万円がFXで1億円」といった類の本があったりしますが、恐らく同じ手法で投資をしたとしても、FXで100万円を1億円に出来る人は、ほぼいないはず。再現性の低い手法と言えます。

これは、FXや暗号資産による運用は、投資というよりも投機であり、損益の行方は市場参加者の需給に大きく左右されます。暗号資産もFXも、投機の対象は単なる通貨の交換比率に過ぎず、通貨の交換比率にファンダメンタルズは存在しません。

これらの点からすれば、FXや暗号資産への投資で成功するか否かは、その取引に参加している個々人のメンタルに影響される部分が大きく、ゆえに着実に資産を増やせる方法とは言えないのです。

まだ投資を始めたばかりで、保有資産額が小さいうちだからこそ、「長期、積立、分散投資」を軸にした投資法を、しっかり身につける必要があるのではないでしょうか。

では、そのためには何を選べば良いのか、についてですが、この答えはすでに調査結果に示されています。保有資産額の多寡に関係なく、どの層にもバランス良く保有されている資産は、「日本株」、「米国株」、「投資信託」でした。

かつて株式投資は、ある程度の資金が必要だったものの、この10年くらいで最低投資金額は大幅に低下しました。少額投資の代表格だった投資信託も、かつては最低購入金額1万円だったのが、最近は積立前提で1000円から購入できる金融機関もあるくらいです。まずは投資信託、少し余裕があるなら日本株や米国株を合わせて持つ、というくらいから始めるのが、資産形成の王道ではないでしょうか。