アメリカで過ごす老後は圧倒的にお金がかかる…

アメリカでの老後は、言語や文化の問題だけでなく金銭的にも負担がかかります。まずは住居費。都市部ではたとえ家のローンが完済していても固定資産税が半端ではなく、年に100万から150万円かかるケースも多いです。

そして医療費も重くのしかかります。フィデリティ社が毎年、老後にかかる医療費(保険料や治療費など含む)の試算をしています。それによると、2022年に65歳を迎える夫婦は、寿命を全うするまでにかかる医療費として$31万5000(約4200万円)が必要という計算です。

アメリカには65歳を超えたら多くの人が入ることができるメディケアという公的医療保険がありますが、その保険のカバーするところは手厚くはありません。メディケアだけだと、大病をしたときに莫大なコストがかかるので、結局追加で保険を購入したりせねばなりません。その二重の保険があっても、まだ自己負担の医療費が案外大きかったりします。

薬代もばかになりません。アメリカは先進国の中で処方薬代が最も高いそうですが、それなのにまだまだ値上がりし続けています。US保険社会福祉省の調べでは、2022年1月に処方薬代は平均10%の値上がり、2022年に7月に7.8%の値上がりでした。驚くべきことに、一年間に値段が5倍になったものもあるそうです。そんなこんなで、先ほどの約4200万円必要という数字になるわけです。

さらに、介護が必要となれば、その費用がこれに重なります。国が提供してくれる介護保険はありませんし、ケアマネージャーさんのような制度もないので、自分で施設を調べて選択しなければなりません。老人施設は場所や質にもよりますが、月に100万~120万円程度はかかります。夫婦の1人が施設に入っても、もう1人は自宅に住むのなら二重生活のやりくりが大変厳しくなります。こんな状況に備えるために保険会社から自分で購入する長期介護保険というのもあるのですが、補償額の割には保険料が高額で、さらにはその保険料が毎年上がるということもあり、広く一般には浸透していません。