いまできていることは、何も諦めなくていい
時間がかかろうが体力や集中力が衰えようが、いまできていることを諦める必要はありません。まったくできないというのならともかく、ペースを落としても休みながらでも、やればできることはこれまで通りに続けてみる。
「もう歳なんだから、疲れることや負担になることはやらなくていい」と考えてしまうと、結局は何もしない暮らしになってしまいます。楽には違いないでしょうが、そういう諦めの境地はまだ70代には早過ぎます。
もっと老いに逆らう気持ちになっていいし、それが70代のフェーズだというのが私の考えです。
ですから、大きな目安として、老いに逆らって70代を乗り切り、それで元気に80代を迎え、その80代も後半になったら少しずつ老いを受け容れてムリはしない、好きなことだけのんびり楽しんでやっていく、そんな考え方でいいような気がします。
もし70代のうちに「歳だから」といろいろなことを諦めてしまうと、80代になったころにはできることがほとんどなくなってしまいます。というより「やってみようかな」という気持ちすら消えてしまいます。
本を読むようなことでも、庭いじりのような軽い作業でも、10年も遠ざけてしまうと興味がなくなってしまう可能性があるのです。
私はこの本を主に70代の団塊世代を意識して書いていますが、理想は80代になっても輝いて生きていることです。10年先の高齢期になっても輝き失わないために、危険な70代をどう過ごせばいいのかを考えています。
80代になっても輝いている高齢者には、まだまだ自分が楽しめる世界が残されています。趣味や日常生活の中で大事にしている時間がいくつもあって、出かけたり人と会ったりすることを苦にしません。といっても忙しく動き回るようなこともしませんから、一日がゆったりと流れていきます。
そういう80代の人がよく口にする言葉に、「退屈することはありません」というのがあります。周囲から見ればのんびりゆっくり過ごしているようでも、本人には一日の中に好きな時間や夢中になれる時間が散らばっていて、その一つひとつを楽しんでいるうちに一日があっという間に過ぎてしまうのでしょう。
そういう毎日を送れるのは、70代にいくつも自分にとって楽しみなこと、好きなことをやり続けてきたからです。
80代になって新しい趣味ややりたいことが見つかるというのはあまりありませんから、70代のうちはいつでも楽しめる世界を身に周りにできるだけ多く残しておくということが大事なことなのです。