国内高配当株ファンドの年初来リターンランキング

国内の代表的な高配当株ファンドを比較するため、ファンド名に「配当」「インカム」「連続増配」のキーワードを含むものを抽出し、年初来リターンランキング(11月末時点)を作成した。

出所:三菱アセット・ブレインズ提供のデータを基に編集部作成

この中から、注目ファンドを2つ紹介する。

野村日本高配当株プレミアム(通貨セレクトコース)年2回決算型

日本の高配当株を実質的な主要投資対象とするファンドで、10月末時点における組入上位銘柄は、以下の通り。

1.日本電信電話
2.トヨタ自動車
3.東京海上ホールディングス
4.オリックス
5.本田技研工業

同ファンドは、保有銘柄のコール・オプション(取引される株式や指数などの資産の価格が上昇することを予想して、その資産を購入する権利)を売却してオプションプレミアム収入の確保を目指す「株式プレミアム戦略」を活用する。「株式プレミアム戦略」は「カバード・コール」ともいう。カバード・コールとは、オプション取引の合成ポジションの一つで、現物株の買いとコール・オプションの売りの組み合わせのことである。カバード・コールは、原資産1単位の買い(ロング)に対して、その原資産のコール・オプションの売り(ショート)を行う。カバード・コール戦略は、原資産が短期的に大きく変動しないと予想される時に用いるのが一般的である。さらに、「通貨セレクトコース」では、原則として円を売り、選定通貨を買う為替取引を行う。選定通貨はブラジル・レアルやメキシコ・ペソ、南アフリカ・ランドなどで、金利水準が高いのが魅力だ。10月末時点の同ファンドの1年騰落率は+30.4%と高く、今後も純資産残高を増やしていくかどうかに注目している。

■野村日本高配当株プレミアム(通貨セレクトコース)年2回決算型
基準価額 2万9689円
信託報酬 1.618%(年率・税込)
純資産残高 61.1億円


1カ月 4.8%
3カ月 6.9%
6カ月 15.5%
1年 30.4%

(10月末時点)

日経平均高配当利回り株ファンド

「日経平均高配当利回り株ファンド」は日経平均株価の採用銘柄のうち、予想配当利回り上位30銘柄を抽出し、投資銘柄の配当収益に相当する分配を目指すファンドである。日経平均株価とは、日本経済新聞社が算出・公表している日本の株式市場の代表的な株価指数の一つで、「日経225」と呼ばれることもある。同指数は225銘柄から構成され、市場流動性の高さや業種のバランスを基準に、東京証券取引所プライム市場上場銘柄から選定されている。日経平均株価の予想配当利回りは2.1%だが、同ファンドの予想配当利回りは6.2%と高い。米国では「ダウの犬」投資法というのがある。「ダウの犬」投資法とは、ニューヨークダウ工業株30種平均(NYダウ)を構成する優良な高配当利回り銘柄だけでポートフォリオを組む投資方法のことである。NYダウの構成銘柄を配当利回りの高い銘柄から10銘柄を選び、それぞれに等しく投資を行う。そして、1年後に再度配当利回りの高い銘柄をスクリーニングして外れた銘柄を売却し、新たに入った銘柄を購入するのだ。同ファンドも「ダウの犬」に近い投資手法だが、11月末時点における1年騰落率は+32.8%と高い。今後も高いリターンを期待できるファンドとして注目している。

■日経平均高配当利回り株ファンド
基準価額 1万1901円
信託報酬 0.693%(年率・税込)
純資産残高 27.77億円


1カ月 8.1%
3カ月 5.9%
6カ月 8.5%
1年 32.8%

(11月末時点)